$\ymkk{着眼}$
とにかく,「$n$ 」や「$k$ 」を“うつわ”とみなして様々な自然数を代入し,どんな「数の並び」になっているかを正確に把握することが肝要です.

$\smkk{解答}$
(1) ②で $n=1$ として \begin{align*} &\dsum_{k=1}^{2}2^{2-k}a_k=3^{2}.\ \cdots④\\ つまり,&2a_1+a_2=9.\ \cdots④' \end{align*} これと①より \begin{align*} a_2=9-2\cdot4=\boxed1^{ア}. \end{align*} 次に,③より \begin{align*} &\prn{a_1,a_2,a_3}=\prn{4,1,a_3}\ は等差数列.\\ \thr\ &4+a_3=2\cdot1.\ \cdots⑤\\ &a_3=\boxed{-2}^{イウ}. \end{align*} (2) ②の $n$ を $n-1$ に変えると \begin{align*} \dsum_{k=1}^{2n-2}2^{2n-2-k}a_k=3^{n}\ (n=2,3,\cdots).\cdots⑥ \end{align*} 両辺を $4\prn{=2^2}$ 倍して \begin{align*} \dsum_{k=1}^{2n-2}2^{2n-k}a_k=4\cdot 3^{n}.\ \cdots⑥' \end{align*} ② $-$ ⑥$'$ より \begin{align*} 2a_{2n-1}+a_{2n}=-3^n\ (n=2,3,\cdots).\cdots⑦ \end{align*} また,③より $\prn{a_{2n-1},a_{2n},a_{2n+1}}$ は等差数列だから \begin{align*} a_{2n-1}+a_{2n+1}=2a_{2n}\ (n=1,2,3,\cdots).\ \cdots⑧ \end{align*} これと⑦より \begin{align*} a_{2n+1}=&2a_{2n}-a_{2n-1}\\ =&2\prn{-2a_{2n-1}-3^n}-a_{2n-1}\\ =&-5a_{2n-1}-2\cdot3^n\ (n=2,3,\cdots).\cdots⑨ \end{align*} $A_n=a_{2n-1}$とおくと, \begin{align*} A_{n+1}=&-5A_n-2\cdot3^n\ (n=2,3,\cdots).\cdots⑨' \end{align*} また,$A_2=a_3=-2$.⑨$'$ を変形すると \begin{align*} A_{n+1}+\bun143^{n+1}=&-5\prn{A_n+\bun143^n}.\ \cdots⑩\\ \end{align*} よって \begin{align*}A_n+\bun143^n=&\prn{A_2+\bun143^2}(-5)^{n-2}\ \cdots⑪\\ =&\prn{-2+\bun143^2}(-5)^{n-2}.\\ \thr\ A_n=a_{2n-1}=&-\bun143^n+\bun14(-5)^{n-2}\ (n=2,3,\cdots).\ \cdots⑪' \end{align*} これと①より,求める和は,$n\geqq2$ のとき \begin{align*} \dsum_{k=1}^na_{2k-1}=&a_1+\dsum_{k=2}^na_{2k-1}\\ =&4+\dsum_{k=2}^n\brc{-\bun143^k+\bun14(-5)^{k-2}}\\ =&4-\bun94\cdot\bun{3^{n-1}-1}{3-1}+\bun14\cdot\bun{1-(-5)^{n-1}}{1-(-5)}\ \cdots⑫\\ =&4-\bun98\prn{3^{n-1}-1}+\bun1{24}\brc{1-(-5)^{n-1}}\\ =&\bun{\boxed{31}^{エオ}}{\boxed{6}^{カ}}-\bun{\boxed{3}^{キ}}{\boxed{8}^{ク}}\cdot\boxed{3}_{ケ}^{\,n}+\bun{\boxed{1}^{コ}}{\boxed{120}^{サシス}}\cdot\prn{\boxed{-5}_{セソ}}^{\,n}.\\ &(これは,n=1 でも成り立つ.) \end{align*}
$\smkk{解説}$

まず,本問の数列$\brc{a_n}$ を決定付ける条件の中核:②式の“実体”を確認しておきます.
②の左辺は,Σ記号の内部:$2^{2n-\uliner k}a_{\uliner k}$ にある“器” $\uliner k$ に,$1,2,3,\cdots,2n$ を順次代入して加えたもの,すなわち \begin{align*} 2^{2n-\uliner{1}}a_{\uliner{1}}+2^{2n-\uliner{2}}a_{\uliner{2}}+2^{2n-\uliner{3}}a_{\uliner{3}}+\cdots+\underbrace{2^{2n-(\uliner{2n-1})}}_{2}a_{\uliner{2n-1}}+\underbrace{2^{2n-\uliner{2n}}}_{1}a_{\uliner{2n}} \end{align*} です.「数列」というものを理解している人は,たとえΣ記号を用いて表していても,頭の中には,常にこのような「数の並び」がイメージされています.つまり,数列の実像を捉えた上で問題と対峙するので,正確に事を進めることができるのです.

前記 では「$k$ 」のことを“器”とみなしましたが,文字「$n$ 」の方も,同様に“器”です.(1)で $a_2$ を求める際,$a_1,a_2$ のみが登場するよう,②式の“器” $n$ に 1 を代入したのが④式です.
そして,さらに“器” $k$ に $1,2$ と代入して④$'$ を得ています.

$a_1,a_2$ の値と③の関係から $a_3$ を求めるために用いた⑤式は,次のようにして導かれます.
$\prn{4,1,a_3}$ が等差数列であるとき,公差を 2 通りに表すことにより \begin{align*} 1-4=a_3-1. \end{align*} 移項を行えば,⑤が得られますね.(⑧式についても,同様です.)

さて,(2)の冒頭で行った,「$n$ 」を「$n-1$ 」に変える手法は,経験があるはずです.次のような使い方がもっとも典型的です. \begin{align*} S_n=a_1+a_2+a_3+\cdots+a_{n-1}+a_{n}\ (n=1,2,3,\cdots)\ \cdots⑬ \end{align*} とする.上式の $n$ を $n-1$ に変えると \begin{align*} S_{n-1}=a_1+a_2+a_3+\cdots+a_{n-1}\ (n=2,3,\cdots).\ \cdots⑬' \end{align*} $⑬-⑬'$ より \begin{align*} S_{n}-S_{n-1}=a_n\ (n=2,3,\cdots). \end{align*} ⑬の右辺に対して,⑬$'$ で右辺は,次のようになっています.

  • 項数が 1 つだけ少なくなった.
  • $a_1$ ~ $a_{n-1}$ の部分は全く同じ
  • よって,差をとるとこれらが消え,$a_n$ だけが残る.
本問では,少し事情が異なります. \begin{align*} &\dsum_{k=1}^{2n}2^{2n-k}a_k=3^{n+1}\ (n=1,2,3,\cdots),\ \cdots② \end{align*} の左辺に対して,その $n$ を $n-1$ に変えた \begin{align*} \dsum_{k=1}^{2n-2}2^{2n-2-k}a_k=3^{n}\ (n=2,3,\cdots).\cdots⑥ \end{align*} の左辺は,次のようになっています.
  • 項数が 2 つ少なくなった.
  • $a_1$ ~ $a_{2n-2}$ に掛かっている「$2^{△}$」の部分が変化している
  • よって,差をとってもこれらは消えない
このあたりの事情は,“器” $k$ に$1,2,3,\cdots$ を代入し,各項を具体的に書き並べてみれば,いっそうよくわかるでしょう. \begin{align*} ②:&2^{2n-1}a_{1}+2^{2n-2}a_{2}+\cdots+2^{2}a_{2n-2}+2^{1}a_{2n-1}+1\cdot a_{2n}=3^{n+1},\\ ⑥:&2^{2n-3}a_{1}+2^{2n-4}a_{2}+\cdots+1\cdot a_{2n-2}\hskip8em =3^n. \end{align*} これら 2 式から,前出の $⑬-⑬'$ と同様に$a_1$ ~ $a_{2n-2}$ を消去するにはどうしたらいいでしょう?対応する「$2^{△}$」を揃えるため,⑥の両辺を $4\prn{=2^2}$ 倍します.すると \begin{align*} ②:&2^{2n-1}a_{1}+2^{2n-2}a_{2}+\cdots+2^{2}a_{2n-2}+2^{1}a_{2n-1}+1\cdot a_{2n}=3^{n+1},\\ ⑥':&2^{2n-1}a_{1}+2^{2n-2}a_{2}+\cdots+2^2\cdot a_{2n-2}\hskip7.4em =4\cdot 3^n. \end{align*} これで,辺々差をとればうまくいきますね.
前記$\smkk{解答}$ では,頭の中にこのようなイメージを描きながら,記述はΣ記号を用いて行っています.
なお,前述した「$a_1$ ~ $a_{2n-2}$ に掛かっている「$2^{△}$」の部分が変化している」という困難を取り除くために,②の両辺を予め $2^{2n}$ で割って \begin{align*} \dsum_{k=1}^{2n}2^{-k}a_k=\bun{3^{n+1}}{2^{2n}} \end{align*} としておくという手もあります.

「$n$ を $n-1$ に変える」という作業を行う際には, $n$ の適用範囲の変化に注意しましょう. \begin{align*} ②:&\dsum_{k=1}^{2n}2^{2n-k}a_k=3^{n+1} \end{align*} は $n=1,2,3,\cdots$ に対して適用されますが,その $n$ を $n-1$ に変えた \begin{align*} ⑥:\dsum_{k=1}^{2n-2}2^{2n-2-k}a_k=3^{n} \end{align*} では,$n$ に 1 を入れてみると$\dsum_{k=1}^{\uliner0}$ となり,意味をなさない式になってしまっていますね.この⑥式は,$n=2,3,\cdots$ に対してのみ適用可能です.よって② $-$ ⑥$'$ によって得られた⑦も, $n=2,3,\cdots$ についてのみ使える等式なのです.

さて,(1)で求めた $a_2,a_3$,および等式⑦によってこの数列$\brc{a_n}$ を定めることはできるでしょうか?答えは「否」です.このことも,“器” $n$ に $2,3,4,\cdots$ を代入してみるとわかります. \begin{align*} n=2\ \cdots\ &2a_3+a_4=-3^2,\\ n=3\ \cdots\ &2a_5+a_6=-3^3,\\ n=4\ \cdots\ &2a_7+a_8=-3^4,\\ &\vdots \end{align*} 1 行目と(1)で得た $a_3=-2$ から $a_4$ は求まりますが,1 行目と 2 行目には共通な項がなく,$a_5$ の値を得ることはできません.2 行目以降も同様であり,

直前の奇数番 → 直後の偶数番,つまり
$a_3 → a_4 , a_5 → a_6 , a_7 → a_8 , \cdots , a_{2n-1} → a_{2n}$
と定めることはできるが,
直前の偶数番 → 直後の奇数番,つまり
$a_4 → a_5 , a_6 → a_7 , a_8 → a_9 , \cdots , \uliner{a_{2n} → a_{2n+1}}$
と定めることはできない
という状況になってしまっています.
そこで,条件③から得られる⑧式:$a_{2n-1}+\uliner{a_{2n+1}}=2\uliner{a_{2n}}$ の出番です.上記で“分断”されていた「$\uliner{a_{2n} → a_{2n+1}}$」がつながりますね!
(2)で問われているのは「$a_{2k-1}$ 」,つまり奇数番の項の和ですから,⑦と⑧から偶数番である$a_{2n}$ を消去し,奇数番の直前直後:$a_{2n-1}$ と$a_{2n+1}$ の関係式⑨を作るのはごく自然な発想です.

さて,漸化式⑨から,$\brc{a_n}$ の一般項を求めます.ここでは,普段慣れ親しんでいる「$a_{n}$ と$a_{n+1}$ 」ではなく「$a_{2n-1}$ と$a_{2n+1}$ 」の関係式なのでやりづらいと感じる人も多いでしょう.そこで $\smkk{解答}$ では,数列 $\brc{a_n}$ の奇数番の部分だけを抜き出した新しい数列:$A_n\prn{=a_{2n-1}}$ を考えました.この「$\brc{A_n}$ 」の実体も,次のように具体的に項を並べるとよくわかります.(ここでは,$a_1$ は除外して考えています.)
\begin{align*} \begin{array}{cccccccccccc} a_1&a_2&a_3&a_4&a_5&a_6&a_7&\cdots&a_{2n-1}&a_{2n}&a_{2n+1}&\cdots\\ &&A_2&&A_3&&A_4&\cdots&A_{n}&&A_{n+1}&\cdots \end{array} \end{align*} こうして得られた $\brc{A_n}$ に関する漸化式⑨$'$ は,慣れ親しんだ $n$ 番と $n+1$ 番の関係式なので,扱いやすいですね.
⑨$'$ から⑩への変形は有名な手法ですので,ぜひ覚えてください.「下書き」段階で次のような作業を行っています.
\begin{align*} \underbrace{A_{n+1}=-5A_n}_{等比型漸化式}\hskip-2em\underbrace{-2\cdot3^n}_{\hskip2.7em ジャマな指数関数}\ \cdots⑨' \end{align*} を \begin{align*} A_{n+1}-\alpha\cdot 3^{n+1}=&-5\prn{A_n-\alpha\cdot 3^n}\ \cdots⑩' \end{align*} へと変形することを目指します.つまり,“ジャマな指数関数”:$-2\cdot 3^n$ を,$A_{n+1},A_n$ へ上手く“分配”して,正真正銘の等比型漸化式になるように定数 $\alpha$ を定めるのです.
⑩$'$ を整理して⑨$'$ と同じ形にすると \begin{align*} A_{n+1}=&-5A_n+8\alpha\cdot 3^n. \end{align*} これと⑨$'$ を比べると, \begin{align*} -2\cdot 3^n=8\alpha\cdot 3^n\ より\ \alpha=-\bun14 \end{align*} であればよいことがわかりますね.このときの⑩$'$ が,$\smkk{解答}$ にある⑩式です.
なお,⑩$\ (n=2,3,4,\cdots)$ と $A_2(=a_3=-2)$ から⑪を得る際,数列$\brc{A_{\uliner n}+\bun143^n}$ の初項は $A_{\uliner 2}+\bun143^2$ ですから,公比 $-5$ を掛ける回数は ${\uliner n}-{\uliner 2}$ が正解です.

⑨$'$ から一般項を得るには,いわゆる「階差型」の漸化式へ帰着させるやり方もあります. \begin{align*} A_{n+1}=&-5A_n-2\cdot3^n\ \cdots⑨' \end{align*} の両辺を $(\uliner{-5})^{n+1}$ で割ると \begin{align*} \bun{A_{n+1}}{(-5)^{n+1}}=&\bun{-5A_{n}}{(-5)^{n+1}}-\bun{2\cdot3^n}{(-5)^{n+1}}.\\ \bun{A_{n+1}}{(-5)^{n+1}}-&\bun{A_{n}}{(-5)^{n}}=\bun25\prn{-\bun35}^n. \end{align*} 左辺は数列 $\brc{\bun{A_{n}}{(-5)^{n}}}$ の階差数列ですから,この一般項は求まりますね.ただし,ここでも,初項が $A_{\uliner 2}$ であることに注意を払ってください.
なお,⑨$'$ の両辺を「$3^{n+1}$ 」で割る方法も知られていますが・・・いちばん遠回りな解法です...

最後に, $\brc{A_n}$ ,つまり $\brc{a_{2n-1}}$ の一般項⑪$'$を用いて和の計算を行います.ただし,⑪$'$は $n=2,3,4,\cdots$ においてのみ適用可能ですから,$a_1$ だけは特別扱いして切り離さざるを得ません.すると $\dsum_{k=2}^n$ となりますので,「$n\geqq2$ のとき」と場合分けすることになります.
その後用いる「等比数列の和の公式」は大丈夫ですか?次のように覚えてください. \begin{align*} 初め\cdot\bun{1-公比^{個数}}{1-公比} \end{align*} 例えば $\dsum_{k=2}^n\brc{\bun14(-5)^{k-2}}$ の部分に関して述べると,

初め:$\bun14(-5)^{2-2}=\bun14$
公比:$-5$
個数:$n-1$ (「2 番」からなので)
ですね.
ちなみに,こうして得られた和(最後の答え)は,除外していた $n=1$ のときにも成り立ってくれます.このことは,$n=1$ のとき,$\smkk{解答}$ ⑫式中の「$3^{n-1}-1$」,「$ 1-(-5)^{n-1}$」 がいずれも 0 になり,⑫式先頭の「4」(つまり $a_1$ ) のみが残ることからわかります.

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