大学や学部選びをする中で、理工学部の受験を考える生徒もいるのではないでしょうか。理工学部がある大学、また理工学部はなく理学部、工学部がある大学もあり、違いや選び方がよく分からないと迷ってしまう人もいるようです。 この記事では理工学部で学べる学問などの特徴や卒業後の進路について見ていきます。ぜひ学部選びの参考にしてみてください。
学部選びにおいて、どんなことを学ぶのかは重要なポイントのひとつ。理工学部で学べるこの概要、主な学科を見ていきましょう。
理工学部には一般的に、理学を学べる学科、工学を学べる学科の両方が設置されています。(学科や専攻、コース、プログラムなど大学によって違いがあります)
理学とは自然科学の総称で、代表的なものには数学、物理学、化学、生物学、地学などがあります。主に自然科学の原理を学び、基礎研究を行います。
一方、工学は既にある理論や科学技術を応用し、いかに実社会に役立てていくかを研究する学問で、機械工学、電気工学、通信工学、土木工学、建築工学、応用化学など非常に多岐にわたります。
理工学部の中でも理学に関する学科や専攻であれば理学中心に、工学に関する学科や専攻であれば工学中心に学ぶことが多いです。また、一部の大学では理学と工学の両方を学ぶ「理工融合教育」を行う学科(理工学科)もあります。
では実際に理工学部にある主な学科を見ていきましょう。理学系、工学系ともに多くの学問分野があるため、さまざまな学科があります。一部ですがご紹介します。
機械工学関係:機械工学科、機械情報工学科、機械科学科
電気通信工学関係:電気電子工学科、情報工学科、情報科学科
応用化学関係:応用化学科
建築工学関係:建築学科
数学関係:数学科、数理科学科
物理学関係:物理学科
化学関係:化学科
生物関係:生命科学科
理学と工学どちらも学ぶ(理工融合教育):理工学科
(2024年2月現在。学科名は変更される場合があります)
なお、学科の名前は似ていても、実際に学べる分野や内容は大学によって異なります。大学選びをする際には、学部や学科の名前だけで選ばず、その大学で学べる内容をよく確認して選びましょう。
大学によっては理工学部がなく、理学部、工学部がある大学もあります。理工学部と工学部は名前が似ていることから、その違いは何なのか、疑問に思う人もいるでしょう。一般的に、理工学部は理学に関する学科と工学に関する学科の両方があり、工学部は工学の学科のみで構成されているという違いがあります。
工学では、基礎研究で得られた知識や理論を、実際の製品やシステム開発に応用するための技術の研究を行います。例えばロボットや飛行機などの機械製品、電気製品や電子機器、情報通信の技術、建築物など、社会の役に立つ製品やシステムの開発を目的にしています。
それに対し、製品やシステムの開発のもととなる基礎研究を行うのが理学です。「宇宙とはどんなものなのか」「物質はなぜそう変化するのか」といった自然現象や物質の法則性を見つけ、それらの知識を積み上げていくことが基礎研究の目的です。
理学で体系化した知識や理論を、実生活に役立つ技術に応用するのが工学という学問です。
理工学部には理学と工学の両方の学科があり、幅広い選択肢があります。理工学部と理学部、理工学部と工学部には共通点が多いため、理学を学びたい人も工学を学びたい人も、理工学部を受験先の選択肢として検討してみてもよいでしょう。
理工学部の中には、学科やコースを大学受験の時点では決めておく必要がなく、入学後、進級時に選べる大学もあります。実際に学んでみてからどの分野に進むのかを決めることができるのはひとつのメリットです。
ここまで理工学部でどんな学びができるかという視点で見てきましたが、将来を考える上では卒業後の進路や就職先も気になるところです。理工学部の卒業後の進路は大きく分けて2つ、就職と大学院への進学です。
理工学部に限らず、どの学部でも大学卒業後の進路として大学院に進学する道がありますが、理工学部について見てみると、必ずしも大学院への進学率が高いところばかりでもありません。
しかし、難関大学と呼ばれる大学は比較的、進学率が高く、理工学部の学生の約6割から7割が大学院に進むところも。必ずしも大学院に進まなければいけないわけではありませんが、学びをより深めたい人や、専門性の高い職業に就きたい人、大学や研究機関で研究職に就きたい人は、大学院での学びも含めて大学選びをするとよいでしょう。
理工学部卒業後の就職先は、機械工学や電気工学、電子工学、物理学ならメーカー、情報工学や数学ならIT系、化学なら素材・化学の会社、土木学や建築学なら建設・住宅・不動産の会社というように、大学で学んだ分野に関する業種に就く傾向にあります。職種はさまざまですが技術系総合職や研究職、開発職、エンジニア、プログラマー、営業などです。
大学や学科によっては、所定の科目を履修することで、仕事に繋がる資格の受験資格を得られたり、試験免除で取得できたりする場合もあります。例えば中学校や高校の教員免許(数学や理科など)、一級建築士や二級建築士(受験資格)、電気主任技術者(試験免除)などです。
理工学部に進む場合、大学で学んだ分野がその後の職業に繋がることが多いため、進路を決めるときには将来やりたい仕事や職業から学部・学科選びをするのもひとつの方法です。
学びや仕事の可能性が広がる理工学部
理工学部には一般的に、理学に関する学科と工学に関する学科の両方があり、学べる内容は多岐にわたります。学部・学科選びは将来の職業にも直結してくるため、理工学部で何を学びたいかで選ぶのはもちろん、将来就きたい職業ややりたい仕事から逆算して選ぶのもよいでしょう。似たような名称の学部・学科でも、大学によって学べる内容は異なるため、しっかりリサーチした上で学部・学科選びをしましょう。
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