中学生にとって、高校生活は未知の世界。特に高校進学を控えた中3生は「中学校と高校の違いってなんだろう?」と疑問に思うこともあるのではないでしょうか。この記事ではさまざまな観点から中学校と高校の違いについてご紹介します。高校進学に向けて参考にしてみてください。
まず、中学校と高校には大きな違いが2つあります。具体的に見ていきましょう。
日本では小学校、中学校は義務教育で、すべての人が中学校までの義務教育課程を修了することが義務づけられています。地元の公立中学に進む場合、入学に際して試験はなく、全員が入学できます。義務教育の場合、成績や出席日数にかかわらず、全員が卒業できます。授業料は無償です。
一方、高校は義務教育ではありません。中学校のように誰でも入れるわけではなく、行きたい人が入試を受けて入ることになります。なお入試の仕組みは全国一律ではなく、高校や自治体によってさまざまです。
高校は成績があまりにも悪い場合や、欠席日数が多すぎると、留年・退学になる場合もあります。授業料は基本的に有償です。
中学校では自宅の最寄りの学校に通っている人が多いでしょう。中学校では校区が決められており、自宅の住所によって進学する中学校が定められているからです。そのため、学校までの距離が比較的近いことが多いのですが、高校では中学校より通学距離が長くなる傾向があります。
高校は中学よりも学区が広くなることがほとんどで、自治体によっては学区の縛りのないところも存在します。そのため、遠方の高校に通うことになれば、電車やバスを使って通学する場合もあります。
高校選びにあたっては、通学時間が長くなってもそこに学びたいことややりたいことがあるのか、それとも自宅から近い方を優先したいのかなどを考えることも必要です。
2つの大きな違いをご紹介しましたが、この他にも高校では、学校ごとの特性がよりはっきり出るという点で、中学校とは違っています。
義務教育だった中学校と違い、高校は自治体単位で一律の教育が行われているわけではありません。全国共通の学習指導要領はあるものの、同じ自治体にあっても教育内容は高校によって異なります。
都道府県ごとに呼び方は異なりますが、大きく分けて、大学進学を目指す「進学校」と、就職や専門学校へ進む生徒が多い学校の2種類があります。
一般的に進学校とは、国語・数学・英語・理科・社会などを学ぶ「普通科」の高校です。
その他に工業高校や商業高校、農業高校などの専門高校があります。専門知識や技術を身につけたり、資格や検定をたくさん取得できたりと特色のあるカリキュラムになっており、就職に強いという特徴があります。
参考:専門高校とは?|文部科学省
高校卒業後に大学進学を目指すのか、または専門学校や就職を目指すのかによってどんな高校を選ぶのかが大きく変わってきます。高校卒業後、さらにはどんな職業に就きたいかも視野に入れつつ、高校選びをしましょう。
高校では普通科、専門学科、総合学科などさまざまな学科があり、それぞれでカリキュラムが異なりますが、近年は普通科の公立高校でも学校ごとに強みが明確になってきています。
例えば、公立高校でも理数教育重点校やスーパーサイエンスハイスクール、グローバル教育を重点的に行う学校に指定されている学校もあり、独自のカリキュラムによる授業が行われています。
一方、もともと独自の教育理念に基づいた教育を進めてきた私立高校では、校風やカリキュラム、国際教育、教育環境の充実など、それぞれの理念に合わせて特色を出しています。
普通科の高校を選ぶにしても、その学校がどんな教育をしているのか、何に力を入れているのかを確認してみると、高校選びの参考になります。
次に、勉強面での違いについて見ていきましょう。高校では中学校に比べて、教科や科目数が増えます。
中学校同様、全国共通の学習指導要領はあるものの、高校によってカリキュラムが変わります。例えば進学を目的としている高校では、受験科目を中心にカリキュラムが組まれ、グローバル教育に力を入れる学校では、英語に関する授業や活動の時間が多く取られていたりします。
高校では勉強する科目が増え、授業のスピードもレベルも中学校より上がります。国語・数学・英語・理科・社会の主要5教科は、高校ではさらに細分化されます。例えば国語なら現代文と古典、理科なら物理、生物、化学などです。
また2022年度から高校の必修科目となった「情報I」や「地理総合」、「歴史総合」などの新しい科目も学ぶことになります。
中学校の授業ではクラス全員が同じ授業を受けていましたが、高校では目指す大学により、自分で授業を選択するようになります。これも中学校との大きな違いです。大学や学部・学科によって必要な受験科目が異なるため、自分で必要な科目を選択する必要があるのです。
しかし、進学校の中には、国公立大の入試対策を最優先にするカリキュラムになっている場合もあり、私立大を目指す人にとっては履修が必要ない科目が時間割に組み込まれていることも。高校選びの際は、自分が進学したい大学を見据えて考えるとよいでしょう。
中学校と高校では、部活の扱われ方にも大きな違いがあります。高校では部活動の頻度や引退時期などは学校や部活によって違います。高校で部活をしたい人は、高校選びの参考にしてみてください。
中学校では何らかの部活動に入っている人が多いのではないでしょうか。
高校では中学同様に文武両道、部活動に入ることを必須のようにしている学校もあれば、自主性に任せる学校もあり、部活動の扱われ方はさまざまです。
中学校の運動部は練習や試合がハードでほぼ毎日活動しているイメージがありますが、高校では運動部でも週3日のみの学校、部活もあります。
最近では2023年夏の甲子園で優勝した慶應義塾高校の野球部や、2018年の全国高校ラグビー大会に出場した静岡聖光学院高校のラグビー部のように、週3日の活動でも全国レベルで活躍する強豪チームが出てきています。
部活動の活動内容や目的に対する考え方が学校によって大きく異なるのも中学校との違いです。
中学校の部活動では多くの人が中3生の夏休み前、または遅くとも夏休み中には引退することが多いようです(一部の文化部では中3生の秋頃のところも)。
一方、部活動に力を入れている高校では、運動部は高3生の夏の大会、文化部は高3生の秋頃とギリギリの時期まで活動するところもあります。一方で、進学校の中には高2生まで(高3生に上がる前)で引退、高3生からは受験勉強に集中する高校もあります。
高校によって部活動の引退時期も大きく異なるところも中学校と違うところです。
大きく違う中学校と高校 学校選びは慎重に
中学校と高校の違いをご紹介してきました。高校は中学校と違い、自分で選んで入るところです。それぞれの高校の違いや教育理念、カリキュラム、部活への力の入れ方など、高校独自の特色を理解した上で高校選びをしましょう。
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