日本史における文化史は大学受験でも出題割合が比較的高く、得点に差がつきやすい分野と言われています。しかし「暗記が多すぎてつらい」「効率的な覚え方が分からない」と悩む高校生は多いようです。文化史の学習は、丸暗記ではなく段階を踏んで勉強すると効率的です。 この記事では、日本史の文化史について効果的な勉強法やコツをご紹介します。
日本史の暗記がつらい、苦手と感じていませんか?歴史を勉強する方法は、教科書や参考書だけではありません。まずは楽しく、そして歴史を学ぶ土台づくりができるおすすめの方法をご紹介します。
日本史の勉強でまず重要なことは、歴史全体の流れをつかみ、理解することです。これを理解せず丸暗記しようとすると、暗記の量が多すぎて勉強がつらくなります。
この歴史の流れを楽しく学ぶことができるのが歴史学習用の漫画です。教科書や参考書の文字の羅列は苦手でも「漫画なら読めそう!」という人が多いのではないでしょうか。歴史漫画を読んで大まかな流れをつかんでおくと、その後の勉強を効率よく進めることができるでしょう。
テレビや動画サイトの歴史番組や講座も、楽しみながら日本史を学べる方法のひとつです。
日本の歴史をドラマにしたものや、特定の偉人や時代に焦点を当てて分かりやすく解説をする番組、高校生向けの日本史学習のための講座など、動画で歴史を学べる番組がたくさんあります。これらも歴史の勉強に重要な、流れやストーリーを理解するのに役立ちます。
日本史は教科書の中だけのものではありません。各地の神社や寺院、城、遺跡など身近にある場所で歴史に触れることができます。本物を目で見て、肌で感じることが、歴史や文化への理解を深めることにつながります。
実際に現地に行き、その場の雰囲気を感じるだけでも歴史に触れる貴重な経験になります。今までただの暗記の対象でしかなかった日本史や文化史に興味が湧くきっかけになるかもしれません。
次に、実際の学習方法をご紹介していきます。文化史の勉強は次の3つのステップで進めていくと効率的です。
日本史の文化史の学習では、最初の段階として時代背景や流れを理解することが先決です。暗記に入る前に、まずは教科書や参考書の文化史のページを読んで「誰がなぜこれを作ったか」「作品が作られたのはどんな時代か」など、ストーリーやその時代の背景がどのようなものだったかを理解しましょう。
また、絵画や彫刻、建築などの作品は、必ず資料集で写真を確認しましょう。作者名や作品名の文字だけだとなかなか頭に残りづらく、実際の試験問題でも写真が問われることがあるからです。
なお、ここではまだ細かい用語や人物名、作品名などをしっかり覚え込む必要はありません。とにかくそれが何なのか、どうしてそうなったのかといったストーリーを理解することに専念しましょう。
ストーリーを理解したら、次に暗記をしていきます。
教科書や参考書を読み込んで、用語や人物名、作品名などを覚えていきます。「どの時代の作品?」「誰が作った?」「何という名前か?」などの内容をインプットしていきましょう。
インプットしたら、覚えたことを紙に書いたり、声に出したりして覚えているかどうかを確認します。そのときに思い出せなかった単語は、再度見直して確認しておきましょう。
暗記作業が終わったら最後のステップ、問題演習です。インプットした知識を実際に使いこなす練習をしましょう。
いくら暗記をしても、実際の試験問題を解けなければ得点になりません。文化史の問題集を用意して、繰り返し解くことでさらに記憶に定着させましょう。
高校生の中には「歴史を勉強して役に立つの?」「歴史を勉強する意味がよく分からない」と、日本史の勉強に対するモチベーションを保てない生徒も多いようです。最後に、なぜ歴史を学ぶ必要があるのかをご紹介します。
なぜ日本史をはじめとした歴史を学ぶのか。その理由のひとつは、私たちが今どうすべきか、また未来がどのような方向に進むべきかを考えるためです。
例えば、現代においてさまざまな社会問題があります。問題解決にはまず「今、何が起きているのか」「なぜ起きたのか」など「今」を理解することが不可欠です。その「今」を深く理解するためにはどのような経緯で「今」に至っているか、過去に起こった出来事の変遷を知ることが必要。それがすなわち「歴史を学ぶ」ことです。
過去と同じような出来事が起きたとき、歴史から学んだことを活かせることもあります。そうした過去・現代・未来のつながりを学ぶことで、私たちがどうすべきかを考えることができます。未来を考えるために歴史を学ぶのです。
現代は、国境を超えてさまざまな国や地域の人々と関わるグローバル社会です。日本以外の国や地域の人々とコミュニケーションを取る機会が増えており、国際的に解決しなければならない問題も増えています。このグローバル社会を生きていくためには、多種多様な角度からひとつの物事を見て検証する「多角的な視点」が必要です。
この多角的な視点は、歴史を学ぶことでも養うことができます。
歴史を知ることは、過去の出来事を知るだけでなく、その背景にある環境、文化、宗教などの価値観を理解することでもあります。また日本史には日本の歴史だけでなく、外国との交流の歴史も含まれています。それらの出来事やさまざまな背景を学ぶことで、多様な価値観があるのだということを知り、多角的な視点を身につけることができるのです。
歴史を学ぶ意義を知り、楽しく勉強しよう
文化史の学習は、理解、暗記、問題演習の3ステップで進めていくと効率的。最初からやみくもに丸暗記しようとせず、大まかに流れや背景を掴んでからインプットするのがコツです。また今、とにかく暗記がつらい、苦手と感じている人は、漫画や動画などで楽しみながら歴史を学ぶ土台を作ってから、教科書や参考書での学習に入るといいでしょう。
歴史を学ぶことは現代、そして未来に繋がっています。ただ暗記がつらいものにするのではなく、歴史を学ぶ意義を考え、楽しく学んでいけるといいですね。
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