現代文とは違い、普段なじみのない単語や表現がたくさん出てくる古典。古典が苦手と感じる高校生は多いです。古典の勉強を進めるうえでは、ひたすら古文や漢文に「慣れる」ことが大切。この記事では古典の勉強法に悩む高校生に向けて、効果的な勉強法についてご紹介します。また多くの人がつまずきやすい助動詞についても解説します。
大学入試でも多くの大学で必須科目となっている古典。しかし「国語の中でも特に古典が苦手」「現代文は得意だが古典は苦手」など、古典に苦手意識を持つ高校生は多いです。
古典の勉強がなかなか思うように進まないあなたは、まず古典へのモチベーションをちょっと上げてみましょう。
そもそもなぜ高校で古典を学ぶ必要があるのでしょうか。
私たちは自国(日本)の伝統、文化を理解しておく必要があります。例えば古文の『源氏物語』は、日本だけでなく世界各国30以上の言語で翻訳され、世界中で読まれています。日本の文化に興味がある海外の人から、日本の文化について質問される場面もあります。また漢文の『孫子』や『論語』は、現代でも世界の経営者や政治家に広く読まれていることで知られています。これらの書物には社会人として、経営者としてビジネスに役立つ知恵や考え方が書かれています。
古文を通して、自国の文化や風習、当時の人々の考え方を学び、理解を深めることができます。漢文では中国の文化も含みます。グローバルな時代だからこそ、将来あなたが社会人になったときに、古典を学んだことが役立つかもしれません。
古典作品には物語や日記、和歌、歴史書などがあり、それぞれにストーリーがあります。現代では考えられない常識や、スマホなど便利なツールがない時代のコミュニケーションはどうしていたのかなどを、古典作品から知ることができます。遠い昔の日本で、人々がどう生きていたのか想像してみると、少し古典に興味が湧いてきませんか?
有名な作品は現代語訳された本や漫画が出ているので、ストーリーを先取りしておくのもおすすめ。その後に原文を読むことで、より深く古典の世界を楽しむことができるでしょう。
楽しく遊びながら古典に触れることができる百人一首もおすすめです。
では早速、古典の効果的な勉強法についてご紹介していきます。
日本語のようでちょっと違う古文と漢字だらけの漢文。ひとつの「外国語」としてとらえ、まずはカラダで古典に慣れていきましょう。
古文も漢文も「言語」。日本語や英語と同じように、単語を少しずつ覚えて、簡単な文章を読めるようになり、だんだんと長文も読めるようになっていきます。
焦らずコツコツ進めていきましょう。
さて古典の勉強を始めるにあたって、まず準備するのは教科書と授業のノート。古文や漢文に慣れるためには、教科書を音読(声に出して読む)するのが効果的です。スラスラ読む必要はありません。区切りや意味を意識しながら、自分に向けての読み聞かせを毎日繰り返し行いましょう。続けることでだんだんと古文のリズムに慣れ、意味を理解しやすくなっていきます。
教科書を音読しながら、授業のノートでポイントを確認します。原文を音読しながら、単語や文法、作品についての情報を一緒に見ていくことで、理解度が深まります。
教科書とノートで分からないところがあれば、先生や友達に聞くなどして解決しておきましょう。
この「教科書の音読」と「ノートでポイント確認」のセットを繰り返し行っていくことで、少しずつ土台ができていきます。
定期テストでは、授業で学習した古典作品の範囲から出題されます。そのため、数学のように問題集をどんどん解いて演習するというより、毎日コンスタントに教科書とノートの内容を押さえることが得点アップへの近道となるでしょう。
古典に慣れていない状態での「一夜漬け」はその場しのぎにはなるかもしれません。しかしこの先、受験に向けて頑張っていきたいのなら、毎日少しずつ積み重ねていくことをおすすめします。
音読で古典に慣れてきたら、重要単語、文法、現代語訳を中心に押さえていきましょう。
まずは基礎固めとして、動詞、形容詞、形容動詞、助動詞など古典の重要単語を覚えましょう。中でも、最も重要なのが助動詞。助動詞を理解していないと古文を読んで理解することが難しくなります。
覚えるべき重要な単語数は古文でおよそ300語、漢文で150語程度。まとめて覚えるのが難しい人は、1日5〜10分の隙間時間に少しずつ覚えていきましょう。自分で単語帳を作るか、古典単語用の参考書を利用するのもよいでしょう。
助動詞については後半で詳しく解説します。
単語と同様に、文法も基礎となります。単語を覚えるのと同時進行で、文法も進めていきましょう。学校指定の参考書などを使い、単元ごとに進めていくのが効率的です。
古文文法の中で、重要なのが敬語表現。古文では、主語や目的語が当然のように省略されるので、そのままの文面では文章の主従関係(誰が、誰に、何をしているか)が分かりづらいです。そこで文章中の敬語によって、文章の主従関係を読み取ることができます。敬語表現のバリエーションはそれほど多くないので、しっかり覚えていきましょう。
また漢文では「レ点」「一二三点」「上中下点」「甲乙丙点」などの返り点と、句形が重要です。授業で重要と紹介されたものは必ず押さえましょう。
単語と文法を少しずつ覚えていきつつ、毎日の教科書の音読とノートのポイントチェックは続けます。教科書の原文を読み、ノートに書いてある現代語訳を確認する。これを繰り返します。
単語、文法、文章と徐々に理解できるようになり、これが古典と基礎になります。
受験生になって暗記が間に合わないと焦る前に、早めの段階で古典に慣れ、基礎を作っておきましょう。
古文で多くの人がつまずきやすい助動詞。ここでは代表的な助動詞について解説していきます。
古文の助動詞はたくさんの種類があり活用も複雑なため、何をどう覚えたらよいか分からない、なかなか覚えられないという高校生も多いです。
覚えることは「意味」「活用」「接続」の3つ。必ずセットで覚える必要があります。
毎日、古文を音読しながら読み込む中で「意味」「活用」「接続」は自然と身に付いてくるでしょう。語呂や替え歌で覚える方法も楽しく覚えられて効率的ですが、古文を毎日読み込むことは続けていきましょう。相乗効果で古文の理解が深まり、得点アップにつながります。
以下に代表的な助動詞の意味、活用、接続をご紹介しますので参考にしてください。
助動詞「る」の意味
・受身[~れる・~られる]
・可能[~ことができる]
・自発[自然と~れる・思わず~てしまう]
・尊敬[~なさる・お~になる]
助動詞「る」の活用
下二段型
助動詞「る」の接続
四段・ナ変・ラ変動詞の未然形
助動詞「す」の意味
・使役[~せる(させる)]
・尊敬[お~になる・お(ご)~あそばす]
助動詞「す」の活用
下二段型
助動詞「す」の接続
四段・ナ変・ラ変動詞の未然形
助動詞「ぬ」の意味
・完了[~た・~てしまった]
・強意[きっと~]
・並列[~たり~たり]
助動詞「ぬ」の活用
ナ変型
助動詞「ぬ」の接続
活用語の連用形
助動詞「む(ん)」の意味
・推量[~だろう]
・意志[~う(よう)]
・適当[~のがよい]
・勧誘[~しませんか]
・婉曲[~ような]
・仮定[(もし)~としたら]
助動詞「む(ん)」の活用
四段型
助動詞「む(ん)」の接続
活用語の未然形
助動詞「つ」の意味
・完了[~た・~てしまった]
・強意[きっと~]
・並列[~たり~たり]
助動詞「つ」の活用
下二段型
助動詞「つ」の接続
活用語の連用形
音読で古典をなじみあるものにしながら、学習したポイントをしっかり振り返ろう!
古典のおすすめ勉強法をご紹介してきました。古典が苦手な人は、古典に慣れていないことが多いです。単語や文法の暗記がつらいと感じている人も、まずは教科書を声に出して読むことから始めてみましょう。そして、授業で学習したポイントをしっかり押さえていくことが大切。そうすることで古典に慣れ、単語や文法も徐々に身に付いてくるはずです。毎日の積み重ねが少しずつ古典の基礎を作ります。コツコツ丁寧に頑張っていきましょう。
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