高2生になると数学Ⅱや数学Bの学習が始まります。数学に苦手意識を持つ生徒は多く、高2生で習う数学が「わからない」「難しい」といった悩みもよく聞かれます。高2生で習う数学Ⅱや数学Bは、大学受験の受験科目になっていることが多く、少しでも得点をアップしたいところ。そこでこの記事では、数学ⅡBのポイントや勉強法についてお伝えします。
多くの人がつまずく高2数学。「わからない」「難しい」と感じるのはなぜなのでしょうか。
まず、高2生で学習する数学Ⅱと数学Bの各単元を見てみましょう。
数学Ⅱ
1. いろいろな式
2. 図形と方程式
3. 指数関数・対数関数
4. 三角関数
5. 微分・積分の考え
数学B
1. 数列
2. 統計的な推測
3. 数学と社会生活
※1〜3から2つ選択
参照元: 高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説 数学編 理数編
(2022年度入学生以降に実施されている新学習指導要領)
※2023年4月時点で高2生、高1生が対象です。内容が改定される可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。
参考:学習指導要領|文部科学省
高2数学では新しい概念が次々と出てきます。複素数、軌跡、対数関数、微分・積分など、未知の概念に戸惑い、公式も多いため「わからない」と感じてしまう生徒が多くいます。実は高2数学は初めての学習に苦戦しやすい単元ばかりなのです。
たとえば数学Ⅱの「図形と方程式」は、座標平面上に描かれている直線や円などを、方程式を用いて表現する分野です。特に軌跡や領域は、難関大学を目指す理系生徒でもつまずくことがある難易度が高い単元だと言われています。
苦手意識を持つ生徒が多い数学ですが、共通テストや二次試験で受験科目となっている大学が多く、大学受験においては重要な科目です。
共通テストの受験科目は以下の通りです。※各大学、学部によって受験に必要な科目は異なります。
2024年実施共通テスト
数学①「数学I」「数学IA」から1科目選択
数学②「数学Ⅱ」「数学ⅡB」「簿記・会計」「情報関係基礎」から1科目選択
2025年実施共通テスト〜
数学①「数学I」「数学IA」から1科目選択
数学②「数学IIBC」※数学B、Cについては各2項目出題のうち3項目を選択
参考:令和7年度試験|大学入試センター
※内容が変更されることがあります。最新情報をご確認ください。
国立大学では文系学部でも数学IIB(2025年実施共通テストからは数学IIBC)まで課される場合が多く、数学ⅡBの重要度は高いといえます。
今の共通テストが始まった2021年からの高2生で習う数学の範囲の出題傾向としては、三角関数や指数関数・対数関数、微分・積分などの出題頻度が高いという傾向にありました。
しかし2025年実施の共通テストからは新課程入試となり、科目の再編や試験時間の変更があります。2024年実施までの出題傾向とは大きく変わる可能性があるため、注意が必要です。
多くの生徒がつまずく数学ⅡB。ではつまずいた時は、どう対処したらよいのでしょうか?残念ながら数学の場合、近道はないため、諦めず、ひとつひとつ対処していくしかありません。
数学は積み重ねの教科です。中学数学、数学ⅠA、数学ⅡBCと、それぞれで学習した内容を基礎に、レベルアップしていきます。
たとえば数学Ⅱの「いろいろな式」は、高1生で学習する数学Iの「数と式」を基礎に展開されていきます。このように数学は、前に学習した単元が、後から学習する単元の基礎になっていたり、関連していたりすることが多い教科なのです。
そのため、高1生の数学がわからないまま高2生の数学に進んでしまうと、さらにわからない状態に陥ってしまうことがあります。
このため、わからない単元だけをがむしゃらにやっても、理解が進みません。
数学でつまずくポイントは、人によってさまざま。「わからない」と思ったら、自分がどこまでわかっているのか、そしてどこからわからなくなっているのかを見つけて、わかるところまで戻って基礎からやり直しましょう。
「わかる」「わからない」の基準は、問題が解けるかどうか。たいていの問題集は、単元ごとに基礎問題、応用問題、発展問題と並んでいますが、まずは全ての単元の基礎問題だけを解いてみてください。解けない問題、すなわち「つまずきポイント」が見つかったら、その単元の基礎問題を何度も解きましょう。
高1生で習った数学に自信がない人は、いったんそこまで戻ってやり直すのもひとつの手です。
また、新しい概念が次々と出てくる数学ⅡBでは、複素数、軌跡、対数関数、微分・積分……など初めて遭遇する言葉ばかりです。授業のスピードも早く、公式もたくさん出てくるため「わからない」と焦る生徒も多くいます。しかし初めてなら「知らない」のは当然。予習、復習を徹底し、とにかく基礎問題を繰り返し解くことで、少しずつ理解できるようになっていきます。コツコツ基礎を積み重ねていきましょう。
そうはいっても「自分だけではどうしたらよいかわからない」という場合もあると思います。その場合の対処法をお伝えします。
数学への苦手意識が強い生徒は「どこからわからないのかさえわからない」状態に陥っているケースが多いです。
この場合、とにかく自分がどこまで理解できているのかを把握することが先決です。基礎レベルの問題を解いてみて、解けない問題があればそこがつまずきポイントです。つまずいているところの教科書を読み返したり、問題集の解説を読んだりするのはもちろん、とにかく基礎問題を繰り返し解くのが有効です。
問題を見た瞬間に難しいと感じたら、無理に考えて解こうとせず、模範解答を書き写すのもひとつの方法。何度も書き写していると、問題の考え方やパターンが見えてきて、少しずつ解けるようになっていくでしょう。また、書き写したものを見返して、どこでつまずいているかを確認するのも一つの手です。わかるところとわからないところが見えてくると、どこに手をつけるべきかが明確になっていきます。焦りは禁物、ひとつひとつ取り組んでいきましょう。
また、学校によっては授業動画を配信している学校もあります。授業の振り返りや復習に積極的に活用しましょう。
そうは言っても自分だけではどうにもならないこともあるでしょう。そんな時は、塾を活用するのも有効な方法です。
塾は指導のプロです。「どこからわからないかもわからない」というレベルでも、一緒に何がどうわからないかを見つけ、丁寧に指導してくれます。
塾といっても集団指導や個別指導、映像授業などさまざまな種類の塾があります。自分に合った指導を行ってくれる塾を選びましょう。
自分の学びの現在地を知り、適切に対処する
高2数学でつまずきやすいポイントや勉強法についてご紹介してきました。続々と出現する新しい概念や公式に戸惑い「わからない」と焦る生徒が多い高2数学。つまずいてしまった時は、わかるところまで戻って基礎からやり直すことが大切です。とにかく基礎問題を繰り返し解き、体に馴染ませていきましょう。自分だけではどうにもできない時は塾に通うなど、諦めず、粘り強く取り組みましょう。
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