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受験生の睡眠時間、何時間が最適なの?

受験生の睡眠時間、何時間が最適なの?

受験生ともなると「もっと勉強しなくては」「やるべきことが終わらない…」と、不安や焦りが出てくることがあります。勉強時間を確保するために、睡眠時間を削って勉強しようと考えている人もいるかもしれません。しかし、極端に睡眠時間を減らしてしまうと、かえって勉強効率を下げてしまうことがあります。この記事では、受験生の睡眠時間の目安や睡眠が勉強に与える影響について紹介します。

目次

    受験生の睡眠時間、データでみる理想と現実

    まず、受験生の理想的な睡眠時間と、実際の平均睡眠時間を見てみましょう。

    中高生の理想的な睡眠は8~10時間

    睡眠が健康に及ぼす影響について研究を行っているアメリカの国立研究機関は、中高生の年代にあたる13~18歳の1日あたりの推奨睡眠時間について、8〜10時間としています。
     
    日本は世界の中で大人についても睡眠時間が少ないことで知られていますが、この傾向は子ども時代にも当てはまるようです。

    高校生の平均睡眠時間は7時間台

    日本の内閣府の調査では、中高生の年代にあたる15歳〜19歳の平均睡眠時間は462分(7時間28分)と、理想的な睡眠時間よりも少し短い結果となっています。
     
    この平均値には受験生でない人たちも含まれているため、受験生だけに限ってみると、実際の平均睡眠時間はもっと短い可能性があります。
     
    睡眠時間の理想と現実がかけ離れている日本。では、睡眠時間を削って勉強を続けた場合、どのような影響が出るのかを見ていきましょう。

    受験生からみた睡眠の必要性

    結論から言うと、受験勉強を続けていく上では、十分な睡眠と質の高い睡眠が受験生には欠かせません。

    睡眠によって記憶の整理と定着が進む

    人間にとって睡眠は、健康を保つのに欠かせないものです。眠ることで、体や心の疲れを回復するだけでなく、睡眠中は成長に必要な成長ホルモンも分泌されているのです。中高生は体を作る大事な時期、この時に睡眠が十分にとれないことは、体の成長に大きく影響するのです。
     
    また、受験生が注目すべき点として、睡眠は記憶の定着を左右するという点が挙げられます。睡眠には脳を休める働きや、記憶を整理し、取り込んだ新たな記憶を定着させる働きもあるのです。睡眠が十分でない場合、せっかく勉強したことも脳に定着しない可能性があるのです。
     

    睡眠不足が学習効率の低下を招く

    また睡眠不足は、集中力や判断力の低下を引き起こします。どんなに長い時間、机に向かっていても、集中力が続かない状態では学習効率が良いとは言えません。また、試験を受ける際も判断力の低下により、ミスをしやすくなることも。せっかく睡眠時間を削って勉強しても、これでは意味がありません。
     

    記憶の定着の面からは少なくとも6時間か7時間半の睡眠が必要

    それでは、受験生のベストな睡眠時間は何時間なのでしょうか?
    健康的な睡眠時間としては若干少ないものの、最低でも6時間から7時間半は確保してあげましょう。
     
    睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があると聞いたことがある方もいると思います。私たちが寝ている間はこのノンレム睡眠とレム睡眠のペアで睡眠サイクルを繰り返しています。
    睡眠サイクルには個人差がありますが、基本的には90分から120分のサイクルでノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返されていると言われています。
     
    睡眠の前半では、ノンレム睡眠の方が長く、レム睡眠がほんの数十秒なのですが、後半ではレム睡眠が前半より長くなる傾向があります。これら睡眠の全てのプロセスを通して記憶を整理したり、定着させたりしています。
     
    一般的に理想的な睡眠は、睡眠サイクルを4回〜5回繰り返す睡眠と言われており、90分×4回で360分(6時間)、90分×5回で450分(7時間30分)となります。
     
    3時間や4時間の睡眠では後半の睡眠サイクルがなくなるため、せっかく勉強した内容が脳に定着されにくくなってしまう可能性があるのです。
     
    ただし前述のように、健康面から見た中高生の理想的な睡眠時間は8〜10時間です。疲れが溜まったときや体調がすぐれないときなどは、体力回復のために8〜10時間程とるとよいでしょう。

    受験生のための睡眠の質を上げる方法

    ここまでお伝えしてきたように、受験生にとって睡眠はとても大切です。ここでもう一点、注目したいのが睡眠の「質」です。
     
    厚生労働省によると、適切な睡眠の目安は「朝目覚めたときにしっかりと休まった感覚(休養感)があること」とされています。分かりやすく言うと「ぐっすり眠れた」「朝すっきりと目覚められた」と感じられることが重要なのです。
     
    近年、「寝つきが悪い」「夜中にたびたび目が覚める」「目覚めが悪い」などの日本人の睡眠の質の低下が問題視されています。この睡眠の質の低下は、私たちの体や心の不調を引き起こし、記憶の面でも悪影響を与えます。
     
    そのため、眠りの質を上げることも大切。眠りの質を悪くする原因はさまざまありますが、中でも受験生が当てはまりやすい原因に焦点を当てて、対策を見ていきましょう。
     

    寝る数時間前はブルーライトを避ける

    眠りの質を低下させるひとつの原因として「ブルーライト」があります。
     
    ブルーライトはスマホやテレビの画面、また昼間の太陽や蛍光灯、LEDの光に含まれています。このブルーライトが私たちの眠りをつかさどるメラトニンというホルモンの分泌に影響を与えると言われています。
     
    メラトニンは、寝る1〜2時間前頃から分泌が始まり、深夜3〜4時でピーク、その後は急速に分泌量が減り、消えていきます。このメラトニンの規則正しい分泌によって、良質な睡眠を得られるのです。
     
    しかし寝る直前までブルーライトを浴びていると、このメラトニンの分泌が阻害されてしまい、眠りの質が悪くなってしまう可能性があります。眠りの質を上げるためには、寝る数時間前からはスマホやゲーム、テレビは避けましょう。
     
    さらに注意したいのが、勉強部屋の照明の色。白色光の蛍光灯やLED照明にはブルーライトが含まれています。そのため夜に勉強するときには、メラトニンの分泌が始まる少し前、寝る3時間前頃からはオレンジ色の照明に切り替えましょう。さまざまな研究から、寝る前にオレンジ色の光を浴びるとよく眠れることが明らかになっています。

    昼休みに15分昼寝をする

    受験勉強が本格化すると、受験生がきちんと睡眠を取ろうと意識していても、なかなか適切な睡眠が取りづらくなるのが現実です。疲れが取れないまま活動していると、昼食後の午後の時間帯に眠気が襲ってくることがあります。
     
    このような午後の眠気に有効なのが、学校の昼休みに15分の昼寝をすることです。この短時間の昼寝で、眠気がスッキリして午後の勉強に集中して取り組むことができるでしょう。この短時間の仮眠(昼寝)についてはさまざまな研究が進められており、実際に午後の授業や作業中の居眠りが減少し、勉強や作業の効率が上がったという報告があります。
     
    なお、午後3時以降の仮眠は夜の寝つきが悪くなる可能性があるため、昼休みを活用して昼寝をしましょう。
     
    参考:仮眠15分で脳がスッキリ 「短時間の仮眠」を取り入れて勉強を効率的に!
     

    生活習慣やリズムを整える

    生活習慣やリズムの乱れは睡眠の質を低下させる大きな原因です。規則正しい生活や栄養バランスの取れた食事が睡眠の質を上げることに繋がります。
    また、眠気を覚ます作用のあるカフェインの摂取タイミングにも注意しましょう。
     

    ・平日も休日もできる限り、起床時間と就寝時間を毎日一定にする
    ・朝食はきちんと摂る
    ・夕食は遅くなりすぎないようにする
    ・コーヒーや緑茶、チョコレートなどのカフェインが含まれるものは寝る4〜5時間前まで
    ・寝る3時間前までには入浴しておく
     
    忙しい受験生にとってはなかなか難しいこともあるかもしれませんが、受験までの限られた時間、効率よく勉強を進めていくためにも、できる限り意識して取り入れてみましょう。

    まとめ

    受験に向けて勉強と睡眠の質を上げていこう

    受験生の睡眠時間や睡眠の質を上げる方法をご紹介してきました。昼間に使った脳を休め、記憶を定着させるためには、受験生にとって睡眠が不可欠。大幅に睡眠時間を削ることはせず、最低でも6時間または7時間半を確保しましょう。また時間だけでなく、睡眠の質も重要。よく眠れる環境づくりを意識しましょう。

    受験生だからこそ睡眠を大切に、体も心も脳も労わって、勉強効率を上げていきましょう。

    Photo / Getty Images

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