大学の合格発表で目にする「補欠合格」という言葉。補欠合格とは何か、どのような状態なのか、疑問に思う方もいると思います。また、実際に補欠合格になった場合、どのように対応すれば良いか、悩む受験生や保護者の方もいらっしゃるでしょう。この記事では、補欠合格について詳しく解説します。追加合格との違いや、補欠合格となった場合の注意点などをお伝えしますので、参考にしてください。
大学の入学試験を受験すると、合格か不合格かの結果が通知されます。合格の基準を満たした受験生は合格、満たさなかった受験生は不合格ですが、そのどちらとも違う「補欠合格」を出す大学もあります。この補欠合格とは、どのようなものなのでしょうか。
補欠合格とは、あらかじめ合格者と同時に補欠合格者(入学許可候補者)を発表しておき、入学辞退者が出た場合に、その中から繰り上げ合格にする制度です。
補欠合格となった受験生は、合格した人の中からなんらかの理由で入学を辞退した人が現れた場合に、代わりに入学できる可能性があります。
残念ながら、補欠合格となった段階では、まだ正式な合格ではないのです。
大学入試では多くの受験生が複数の大学を受験し、合格した大学の中から入学する大学を選びます。そのため入学辞退者が出た場合、補欠合格者が繰り上げで合格する可能性があります。しかし入学辞退者が何人出るかはわからないため、確実に入学できるとは限りません。
追加合格(繰り上げ合格)は、正規合格者から入学を辞退する人が出た場合に、正規の合格者として発表されます。通常、一度不合格とした人の中で、獲得点数が高い受験生から順に合格に繰り上げられます。
追加合格(繰り上げ合格)は補欠合格と言葉はよく似ていますが、実は意味が異なります。補欠合格者はまだ正式な合格ではないのに対し、追加合格(繰り上げ合格)者は正式に合格した状態です。
補欠合格や追加合格(繰り上げ合格)の制度は大学によってさまざまで、合格発表と同時に補欠合格者を発表し、欠員に応じて補欠合格者に追加合格を出す大学と、補欠合格は出さずに、後から追加合格者のみを発表する大学があります。
また補欠合格者の発表は行わず、複数回の合格発表を行う大学もあります。1回目の合格発表で不合格であっても欠員に応じて追加合格の発表が行われ、合格することもあるのです。※追加合格の実施の有無は各大学の公式情報をご確認ください。
国公立大学では、欠員が生じた場合に改めて志願者を募集・選抜する「欠員補充2次募集」が行われることもあります。なお、欠員が生じた大学全てで募集が行われるとは限りません。
欠員補充2次募集が実施される場合は、3月下旬に行われます。補欠合格とは異なり、改めて出願し、選抜を受ける必要があります。
出願方法は一般的に、持参または郵送での出願(持参のみの場合もあり)となり、出願期間は数日のみです。なお、出願できるのは1つの大学で(欠員補充2次募集を行う複数の大学の併願不可)、既に国公立大学に合格し、入学手続き済みの人は出願することができません。
選抜方法は共通テストのみ、または個別学力検査のみとなるケースが多いようですが、大学によって異なるため、各大学のホームページを必ず確認しましょう。
補欠合格になった場合、どのようなタイミングで正式な合格になるのか、またどのように発表されるか、不安になりますよね。大学によって異なるので、しっかり確認しておきましょう。
正規合格者の入学手続きが全て完了した段階で、欠員の人数が確定し、繰り上げ合格の対象となる人数が決まります。このタイミングで、補欠合格から繰り上げ合格になるかが決定します。追加合格(繰り上げ合格)が出た受験生は、晴れて正規合格となります。
私立大学の追加合格は、入学手続きの期限後数日から1ヶ月程度で発表となり、大学によって異なります。入試要項で公表されている場合もあるため、しっかりチェックしておきましょう。
なお、国公立大の結果次第で併願している私立大の入学を辞退するケースも多くあります。国公立大の試験日は私立大より遅いため、私立大学では3月下旬になってやっと繰り上げ合格を出すか出さないかが決まる場合もあります。
追加合格の発表方法は主に、電話や郵送での通知、ウェブサイト上での発表です。
大学によって通知・発表方法が異なるため、必ず調べておきましょう。受験した大学それぞれの発表方法や発表時期をメモしておくといいですね。
電話の場合は、願書に記入した電話番号にかかってきます。チャンスを逃さないためにも、願書を提出する際には受信しやすい番号を書いておきましょう。ウェブサイト上での発表の場合は、受験生自身が確認する必要があります。忘れずに確認しましょう。
実際に補欠合格になった場合、どのようなことに注意すればいいでしょうか。追加合格となった場合にどうするか、しっかり考えておくことが大切です。
上述のように、大学によって、追加合格の発表方法や時期が異なります。入試要項などを必ず確認して、確実に連絡を受け取れるようにしておきましょう。
追加合格の連絡が来ても受け取れなければ、せっかくの機会を逃してしまうことになります。十分確認し、メモなどに残しておくとよいでしょう。
追加合格の場合でも、正規合格と同様、必ず入学しなければならないわけではなく、入学するか辞退するかは、選択することができます。
追加合格の連絡が来た時点で慌てないよう、補欠合格になった場合は、入学するかどうかをあらかじめ検討しておきましょう。
追加合格のタイミングによっては、他の学校への入学手続きを終えていることもあります。また、他の学校への入学のために、引越しや新生活の準備を始めていることもあるでしょう。経済的な負担もあるので、家族ともよく話し合っておくことが必要です。
補欠合格とは、合格する可能性がある状態のこと
補欠合格とは何か、追加合格との違い、補欠合格になった際の注意点などを見てきました。
正規に合格ができなくても、補欠合格から繰り上がり合格する場合もあります。ただ、補欠合格・追加合格は入学辞退者に左右されます。また、たとえ追加合格しても、3月下旬など入学ギリギリに決まる場合もあり、物理的・経済的に負担がかかる可能性もあります。
意外と複雑なしくみですが、いざという時にチャンスを逃さないように、しっかり準備をしておきましょう。
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