早稲田大学の入試は、学部や科目によって傾向が異なるので、それぞれの傾向や特徴を踏まえた対策が欠かせません。この記事では、早稲田大学の入試について、特徴・概要や難易度、試験科目別の傾向と対策などを中心に解説します。後半では、早稲田大学合格のために押さえておきたいポイントもご紹介しますので、参考にしてみてください。
※この記事は、2024年7月時点の情報を元に作成しています。
早稲田大学の入試は、問題のレベルが高く、時間制限も厳しいのが特徴です。限られた時間の中で、難易度の高い問題をテンポよく解答できる高い解答力が要求されます。過去問をしっかりとこなした上で、間違った問題は解けるようになるまで見直しておきましょう。
また、入試傾向や出題範囲などは、学部によって異なります。まずは出題の傾向などを把握し、優先度の高い範囲から確実に解けるように対策を進めていくことが、合格への近道です。
2021年度以降、学部によって選抜方法の方向性の違いが顕著になっており、以前と比べると早稲田大学内で併願できる学部が少なくなっています。併願ができないと、出願する学部を絞り込む必要があるので、「学部を問わず早稲田大学に合格するチャンス」は減少します。
なお、2025年度は、社会科学部・人間科学部・スポーツ科学部に大きな変更が行われます。社会科学部・人間科学部は、一般選抜では大学独自試験だけの選抜方法が廃止され、共通テストと大学独自試験を併用する方式が導入されます。スポーツ科学部の一般選抜の2次試験は、小論文から総合問題に変更になります。
このような大幅な選抜方法の変更があるのも近年の早稲田大学入試の特徴なので、忘れずにチェックしておきましょう。
2025年2月実施予定の早稲田大学の2025 年度一般選抜では、すべての学部において、新教育課程と旧教育課程の共通範囲で試験が実施されます。ここでは、主な変更ポイントと入試の概要について解説します。
※詳細な情報は、早稲田大学の公式HP「入試制度一覧」で確認してください。
2025 年度入試の一般選抜における出題範囲は、下記の、新教育課程と旧教育課程の共通範囲です。なお、2026年度からは、出題範囲が新教育課程のみに変わります。
※出典:早稲田大学「 2025 年度の早稲田大学「一般選抜」「大学入学共通テスト利用入試」の変更点について 」
各学部の主な変更ポイントは下記の通りです。
① 政治経済学部・国際教養学部・文化構想学部・文学部 | ・共通テストで課す科目の「選択科目」に「情報」が追加される(※) |
② 商学部 | ・英語4技能テスト利用型が、2025年度入試から募集停止になる |
③ 社会科学部 | ・入試科目が、共通テストと学部独自試験を組み合わせる方式に変更される |
④ 人間科学部 | ・入試科目が、共通テストと学部独自試験を組み合わせる方式に変更される/td> |
⑤ スポーツ科学部 | ・一般選抜において「小論文」が「総合問題」に変更され、それに合わせて試験時間および配点が変更される ・「総合問題」は、データの読み取りや小論文を含む |
⑥ 基幹理工学部 | ・3学系から4学系に再編される |
詳しくは、早稲田大学の下記ページをご覧ください。
「入試の変更点」
※選抜方式について、政治経済学部・国際教養学部は一般選抜、文化構想学部・文学部は一般選抜(共通テスト利用方式)です。
早稲田大学の一般選抜は、下記の2つに分かれます。
・一般選抜
・大学入学共通テスト利用入試
自分の受験したい学部でどの方式が実施されているのかを把握し、対策をすることが大切です。
また、学部によって試験科目や配点も異なります。どのように変わってくるのか、政治経済学部・文学部・国際教養学部・文化構想学部の4学部について、試験科目や配点をみてみましょう。
政治経済学部では、一般選抜に加え、大学入学共通テスト利用入学試験も実施されています。まず、一般選抜の科目と配点は、下記の通りです。
※一般選抜の科目と配点
次に、大学入学共通テスト利用入学試験の科目と配点は、下記の通りです。
※大学入学共通テスト利用入学試験の科目と配点
文学部の一般選抜の科目と配点は、下記の通りです。
ほかに、一般選抜(英語4技能テスト利用方式)・一般選抜(共通テスト利用方式)もあります。
国際教養学部の一般選抜の科目と配点は、下記の通りです。
文化構想学部の一般選抜の科目と配点は、下記の通りです。
ほかに、一般選抜(英語4技能テスト利用方式)・一般選抜(共通テスト利用方式)もあります。
各学部の一般選抜における入試科目と配点は、早稲田大学の下記ページをご覧ください。
「一般選抜」
2024 年の結果を踏まえると、早稲田大学の一般選抜の偏差値や合格率は、下記の通りです。
・一般選抜の偏差値は62.5~70.0
・一般選抜の合格率は37%程度
出典:
Kei-Net「早稲田大学(河合塾の大学入試情報サイト Kei-Netへリンクします)」
早稲田大学「2024年度一般選抜および大学入学共通テスト利用入学試験結果」
具体的にどの程度の難易度といえるのか、もう少し詳しく説明します。
早稲田大学の一般選抜において、合格するために求められる全統模試における偏差値は62.5~70.0、共通テスト得点率は73%~94%です。
学部ごとの偏差値や得点率は、下記リンクをご覧ください。
Kei-Net大学検索システム「早稲田大学(河合塾の大学入試情報サイト Kei-Netへリンクします)」
同じ学部であっても、学科・専攻や試験の方式によって、偏差値や得点率は異なります。
2024年の大学公式統計から計算すると、早稲田大学の一般選抜の合格率は37%です。なお、この割合は「最終合格者数(15,642)÷実志願者(※)数(42,031)≒37.2」の計算式で算出しています。
河合塾の入試結果調査データ(河合塾の大学入試情報サイト Kei-Netへリンクします)では、早稲田大学を含む早慶上理の合格率は、偏差値65以上であれば5~6割程度あります。しかし、偏差値が60~65未満だと、合格率は30%までぐっと落ち込んでしまうため、一般的に難易度は高いといえるでしょう。出題傾向を踏まえた対策をしっかりと取らなければ、合格は難しくなると考えられます。
※実志願者…両入試制度・複数方式・複数学部を併願した場合も同一志願者を1名として数えた合計人数。
早稲田大学入試の国語について、出題傾向と有効な対策をみていきましょう。
大学入試において、早稲田大学の国語はトップレベルの難易度です。主な特徴は、長文問題の文章ボリュームがかなり多いことでしょう。
さらに、文章量が多いだけでなく、文章や設問の内容にクセがあります。学部によっては、抽象度の高い文章が出題されるので、慣れていないと問題文の内容を把握することすら難しいケースもあるでしょう。
古文においては、テーマとなる時代の幅が広いため、知識量が高得点を得る鍵になります。
まずは読解力や知識を身に付けて、難解な長文を読み解けるようになっておくことが大切です。具体的にどのような対策が有効であるか、次項でご紹介します。
早稲田大学における国語の入試対策で、ポイントとなるのが下記の2つです。
古文・漢文は、現代文よりも対策すれば得点源にしやすい傾向にあるので、確実に得点できるよう知識量のアップと演習に取り組みましょう。高校の授業進度によっては古文・漢文は自分で対策を進めなければなりません。必要に応じて、塾や予備校も活用しましょう。
また、独特の出題形式に太刀打ちできるようになるには、過去問でくり返し演習して慣れるのが効果的です。
早稲田大学入試の数学について、出題傾向と有効な対策をみていきましょう。
文系数学については、計算量は多いものの、難易度は標準レベルといわれています。ただし、商学部では難易度の高い出題もあり得るので、難問を想定した対策も必要です。また、数Ⅱ、数B、数学C(ベクトル)の出題が多い傾向にあります。
理系数学については、文系に比べると難易度が高い傾向です。基幹・創造・先進理工学部については、出題範囲の中でも、特に数Ⅲからの設問が多い傾向にあります。また、証明問題も出題されるので、背理法や数学的帰納法など、基本的な証明の知識は必須です。
早稲田大学における数学の出題傾向を踏まえると、下記のポイントを押さえて対策をすると効果的です。
発想力を問う問題が多いため、基本的な知識は完璧にした上で、応用的な問題にも対応できるようにしましょう。
また、制限時間内に解けるように計算力を高めることも大切です。
高1・2生では授業の単元をしっかりと習得し、高3生からは実戦力を身に付けるのがおすすめです。
早稲田大学入試の英語について、出題傾向と有効な対策をみていきましょう。
早稲田大学の英語の入試問題には、下記のような出題傾向があります。
とにかく英文の量が多く、語彙数が3,000以上ともいわれる早稲田大学の英語は、高度な英文読解力が必要とされます。
文章量が多いだけでなく、使われている単語や熟語のレベルはいずれも高い傾向にあるのが特徴です。さらに、理系学部の英語は、文系学部より難しいといわれています。
学部によって内容は大きく異なるので、過去問を分析し、対応した勉強に重点を置く必要があるでしょう。
早稲田大学・英語の出題傾向を踏まえた入試対策のポイントとして、下記のようなものがあります。
長文対策としては、論理的に考える力を身に付けることが重要です。そのためには、文章の主旨や構文を正しくとらえる練習が欠かせません。一般的には、速読やパラグラフリーディングの練習などが役立ちます。
また、学部によっては英作文や英語の要約問題が出題されます。基本的な文法や英単語、構文の知識を身に付け、ライティング力を伸ばすことも重要です。
高1・2生のうちから英文法・語法における基礎を固め、高3生では答案の作成力を上げましょう。
早稲田大学入試の地歴・公民について、出題傾向と有効な対策をみていきましょう。
地歴・公民全体としては、近年では、以前と比べると、知識量より思考力を問われる傾向になりつつあります。ただし、依然として幅広い範囲から出題されるため、難易度は高いと考えておきましょう。
基礎~標準レベルの問題で失点しないように、重要事項を必ず習得することが有効です。このとき、知識を単に暗記するだけではなく、理由や背景なども含めて理解しましょう。
世界史では、年代のほか、各国史や歴史的な事象の背景・影響を整理するのがおすすめです。
日本史は設問や選択肢から推測して解答を導き出す力が求められるため、史料対策が重要になってきます。
地理では教科書や資料集の地名を覚えることがまず大切ですが、地名だけでなく経線・緯線も確認しておくと、地理的な認識力を高められます。なお、地理を選択できるのは教育学部のみです。
また、地歴は高校によって授業進度が異なります。授業進度に合わせて学習していると十分に対策できない場合もあるため、塾や予備校での対策も検討しましょう。
早稲田大学入試の理科について、出題傾向と有効な対策をみていきましょう。
早稲田大学入試の物理・化学は、全体的な傾向として、計算量や設問数の多さがあげられます。化学はほぼ全範囲から出題されるため、幅広い学習が求められます。
生物は論述問題が多く、描図やグラフ作成も頻出です。また、難易度の高い実験考察問題も多く出題されます。
物理・化学は計算量が多いため、標準的な問題の演習を繰り返し、効率良く計算する力を高めましょう。
また生物は論述問題に対応できるよう、解答を2~5行程度でまとめる答案作成力を身に付けることも重要です。教科書に登場する重要な図は必ず確認しておきましょう。
実験考察問題で失点しないために、数年分の過去問研究をすることが差をつける鍵です。
また、理科は高3生の秋にやっと受験範囲の授業が終わるというケースもあります。高2生から早めに対策を進めていきましょう。
塾や予備校で各学部の出題傾向にもとづいた対策をするのもおすすめです。
早稲田大学の合格に向けた理想的な学習スケジュールや、勉強時間のおおよその目安などをご紹介します。「高1からスタートする場合」と「高3の夏から受験勉強を始める場合」の2つのパターンに分けて、みていきましょう。
高1生からコツコツと勉強を進めておくことで、早稲田大学の合格に向けて、周囲に差をつけやすくなるでしょう。また、高2生の夏休みにきちんと勉強時間を確保できたかどうかで、合否に差が生まれます。
受験までにまだ時間がある、高1・2生の時期にかけて勉強時間を増やせば理解の度合いを高めることが可能です。
特に、高2までに基本的な事柄を暗記するだけでなく、背景や理由などと絡め、掘り下げて理解しておきましょう。基礎固めをしておくことで、高3での学習の質を高めることができます。そのため、できるだけ早い段階から受験勉強の時間を確保しておきましょう。
高1生から受験勉強を始める場合の勉強時間の目安は、下記の通りです。なお、勉強開始時点での学力によっても勉強時間は異なるため、参考程度としてください。
時期と勉強時間の目安(1日)2時間
2~3時間
7~10時間
高1から受験勉強を始めるときの勉強法について詳しくは、「高1生から本気で勉強!難関大を目指す勉強法」で解説しています。
早稲田大学入試の合格のために押さえておきたいポイントが、3つあります。
・過去問を10年分解く
・模試の成績の分析~改善
・先輩合格者の経験談に触れる
上記のポイントを押さえるべき理由や、実践の仕方などを解説します。
過去問を解くと、下記のような効果が期待できます。
とりわけ時間配分の練習は、本番で焦らないために重要です。第一志望は10年分、第二志望は5年分が目安です。受験する学部の過去問はすべて解き、直近の問題はくり返し演習することで、苦手範囲を克服しておきましょう。
模試を受ける重要な目的は、今までの勉強でどれだけの力がついているのか試し、現在の自分の立ち位置を把握することです。その上で、復習し、現在の自分に足りない点を補うことで、受験を突破する力がつきます。
効果的に模試の復習をするには、次の3ステップで進めましょう。
最初に、間違えた問題について理由を分析しましょう。ケアレスミス、暗記間違い、勉強不足など、理由によって取るべき対策が変わります。
次に、苦手な範囲や対策すべき内容を整理します。例えば「ミスをする理由は単語の知識不足だから、単語帳を計画的に進める」といった自分なりの分析をしてみましょう。
洗い出した対策すべき内容などを参考に「どのような勉強を」「どのくらいのペースで進めるか」のプランを練りましょう。
自分に合った勉強法が分からない場合は、大学受験に特化した予備校や塾でプロの講師からアドバイスを受けるのも選択肢のひとつです。
先輩合格者の経験談に目を通すのも、効率的に受験勉強を進める大事なポイントです。実際に合格した先輩が実践していた勉強法・スケジュール・リラックス方法など、体験談から得るものは多いです。受験勉強を続けるモチベーション維持のヒントにも、出会える可能性があります。
河合塾マナビスでは、現役合格者の体験談をまとめております。ぜひご覧ください。
早稲田大学の入試は、難易度が高く、時間に対して解答すべき設問や計算量が多い傾向にあります。また、2025年度入試より学部によっては選抜方式や出題範囲などが変更になるので、最新情報を収集し、適切な対策を取ることが大切です。科目ごとの対策に加え、計画的に勉強を進めることや、過去問・模試・合格者体験談などを有効利用することが、合格への近道です。
河合塾マナビスでは、難関大合格に向けて、必要な要素を詰め込んだカリキュラムを提供しています。自分のレベルに合わせた対策をして、受験合格をつかみましょう。