覚えるべきことが膨大な世界史。「世界史の勉強法が分からない」「暗記がつらい」といった悩みを持つ生徒は多いようです。できるだけ効率良く世界史の知識を増やし、得点を伸ばすためにはどのように学習を進めればよいのでしょうか。この記事では、定期テスト、さらに大学受験に向けた、世界史の勉強法のコツをお伝えします。
世界史の勉強といえば、とにかく「暗記」と思っていませんか?例えば、共通テスト対策で覚えるべき世界史の用語や単語の数は約5000語と言われています。もちろんある程度の暗記は必要ですが、これだけのものを全て丸暗記に頼るのは、とても非効率です。世界史の勉強は、次の3つのステップで進めていくとよいでしょう。
世界史の学習では、単語の暗記に入る前に、まずは歴史の流れを理解することが先決です。教科書や参考書、資料集を読み、時代や地域、出来事の内容、背景、因果関係やつながりなど全体的な流れをつかみましょう。
大学受験、例えば大学入学共通テストの世界史では、単語そのものを問う問題より、出来事を時系列順に並べる問題や、出来事の内容や因果関係、背景などを問う問題が増加傾向にあります。時代も古代から現代まで幅広く出題されています。このような問題に対応するには、タテの流れ(特定の国・地域ごとの歴史の流れ)だけでなく、ヨコの流れ(同じ時代に複数の地域で何が起こっていたか)も意識して理解することが必要になるため単語の丸暗記ではなく、歴史の全体像を理解する学習が不可欠なのです。
歴史の流れを一通り理解できたら、人物名、地域名、戦いの名称などの単語や、年号の暗記に入ります。教科書や参考書を繰り返し読み込んだり、音読したりして暗記していきましょう。穴埋め形式の問題集を活用すれば歴史の流れを覚えつつ単語の暗記ができます。
単に単語だけを丸暗記しても、すぐに忘れてしまうものです。暗記するときは、ステップ①で理解した歴史の流れと関連づけながら覚えていくのがコツ。出来事が起こったのは「なぜ起こったのか?」「いつの時代か?」「どの地域で?」「そのとき他の地域では何があった?」など、時代背景やストーリーを考えながら暗記していくとよいでしょう。単語や年号を点ではなく線で覚えることが大切です。
また、世界の国々がどこに位置しているのかの基本的な地理事項も重要です。図説や資料集の地図で覚えましょう。
歴史の流れを理解し、基本的な単語を暗記できたら、一問一答の問題集や演習問題に取り組みましょう。実際に問題を解いて、インプットした知識を使いこなす練習をします。このアウトプットの作業をすることで、より知識として定着しやすくなります。
問題を解いてみて、覚えていなかったところは戻って復習します。問題集を繰り返し何周も解くことで、さらに記憶に定着させていきましょう。模試の復習や解き直しも効果的です。
大学受験対策であれば、過去問にも取り組みましょう。私立大学、国公立大学など大学によって出題傾向や形式が異なるため、志望大学の出題傾向に合わせた対策をする必要があります。
世界史の勉強の基本的な進め方を押さえたところで、定期テスト対策についても見ていきましょう。定期テストの勉強でも基本のステップは同じで、テスト範囲に絞って対策していきます。
大学受験に比べると定期テストは出題範囲が狭いため、丸暗記や一夜漬けでも対応できることもあるかもしれません。ですが単なる丸暗記で覚えたことは忘れやすいため、長い目で見れば非効率です。定期テストの勉強、また日々の予習・授業・復習は受験勉強にもつながります。大学受験を見据えて、普段からコツコツ進めておきましょう。
まず、テスト範囲になっている教科書のページを読み、歴史の全体的な流れを理解します。時代、地域や国家、出来事の内容、背景などを確認していきましょう。
この段階では細かい用語や人物名、戦いの名称などをきちんと覚え込む必要はありません。まずは骨組みを作るイメージで、いつどこで、何が起こったのか、なぜ起こったのか、といった流れをつかむことに専念しましょう。
テスト範囲全体の流れを理解したら、単語や年号を暗記していきましょう。先に作っておいた骨組みに、細かい知識で肉付けをしていくイメージです。教科書に太字で書いてある箇所は重要度が高いことが多いため、しっかり覚えるようにしましょう。世界史ではその国や都市がどこに位置しているかや、国の領域も重要です。教科書に載っている地図を確認して把握しておきましょう。
また、授業で先生が「ここはテストに出すよ」「ここは重要」と言っていたポイントは重点的に覚えるようにしましょう(普段の授業でこのようなポイントを聞き逃さず、ノートを取っておくことが大切です)。
インプットが一通り終わったら、問題集で問題演習をします。分からなかったところ、間違えたところは再度復習し、補強しましょう。一度解いて答え合わせをして終わりではなく、何度も繰り返し解いて、実際に問題を解く力をつけていきましょう。
覚えることが多い世界史はできるだけ効率的に知識を身につけていく必要があります。世界史の成績がなかなか伸びない、暗記がつらいという方は、非効率な勉強の仕方をしているかもしれません。いったん自分の勉強法を振り返り、見直してみましょう。
最初から細かい用語や年号を丸暗記しようとするのはおすすめできません。全てを丸暗記しようとすると暗記することが大変になり、長く記憶に残しておくことも難しくなります。
お伝えしてきたように、まずは大きな流れやストーリーを理解してから暗記に入るようにしましょう。流れと関連づけて覚えることができるため、全て丸暗記するよりも覚えやすく、勉強効率が上がります。
ノートに分かりやすく要点をまとめること自体は問題ありませんが、色ペンを使ってカラフルにしたり、きれいにまとめたりすることにこだわりすぎないようにしましょう。「きれいなまとめノートを作る」ことが目的になってしまうと、肝心の覚えるべきことがあまり頭に残りません。
やらなければならないのは「覚えるべきことを覚える」こと。書くときは「理解しながら書く」ことを意識すると頭に残りやすくなります。ノート作りだけに時間や手間をかけすぎないようにしましょう。
インプットしたことをアウトプットすることで、記憶への定着が期待できます。
また、アウトプットしなければ問題を解く力はなかなかつきません。世界史の得点を伸ばすためには、試験問題に慣れることも重要です。ですので問題集を使ってアウトプットすることを必ず行いましょう。
覚えることが多い世界史!効率良い勉強法で得点を上げよう
世界史の勉強は、①歴史の流れをつかむ、②単語を暗記する、③問題演習でアウトプットの3ステップで進めると効果的です。暗記科目のイメージが強い世界史ですが、最初に歴史の流れを理解しておくことで、暗記もしやすくなります。インプットだけでなく、問題演習でアウトプットしてさらに記憶に定着させましょう。日々の勉強が大学受験にも役立ちます。少しずつ積み重ねて、着実に得点を伸ばしていきましょう!
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