受験生にとって夏休みはまとまった勉強時間を確保できる大切な期間です。しかし期間が長いがゆえに、どのように過ごしたらよいか分からず困る人もいるようです。この記事では合格に近づくための、受験生の夏休みの過ごし方や勉強方法をお伝えします。
時間がたくさん使えるからこそ、どの程度勉強に時間を使えばよいかわからない人もいると思います。ここでは夏休みに必要な勉強時間について解説します。
受験勉強に必要な時間は、高校3年間で平均約3,000時間だと言われています。つまり3,000時間を3年間の日数で割って、1日約3時間の勉強時間が必要になる計算です。しかし部活動やアルバイトなどで勉強時間を確保するのが難しい人もいるでしょう。だからこそまとまった勉強時間を確保できる夏休みが受験において非常に大切なのです。
参考:高校生の勉強時間はどのくらい?難関大や国公立大受験を目指す人の勉強時間
高3生が夏休みに勉強にあてている時間は、1日平均7.6時間と言われています。高校生の夏休みは一般的に40日程度なので、毎日約8時間勉強すれば、夏休みだけで320時間の勉強時間を確保することが出来ます。ですがこれは平均的な勉強時間です。ライバルと差をつけるためには1日10時間の勉強を目指してみましょう。10時間と聞くと長く感じてしまいますが、午前5時間、午後2.5時間、夜2.5時間と考えたらいかがでしょうか。大きな数字の塊で見ると難しそうに見えることもスケジュールを組むことで無理なく取り組むことができるはずです。時間配分を行い、勉強時間を積み上げましょう。
夏休みにどのくらいの時間を勉強に費やせるかを理解したうえで、ここでは受験生がすべき効率的な勉強の進め方について解説します。
長い夏休みはつい気持ちが緩みがちになり、勉強をやろうと思っていても、「何もせずに過ごしてしまった」と後悔する声はよく聞かれます。そんな状況を防ぐためにも、まずは夏休みの勉強スケジュールを立てましょう。基礎固めや苦手科目の克服など、具体的な目標を立て、どういう風に勉強するか週単位で割りふります。例えば、1週目は数学のこの単元を完璧にする、と決めて①授業の復習②テストの解き直し③問題集を2回、などの計画を曜日ごとに落とし込みます。問題集は1日〇ページやる、など決めるのも良いでしょう。
夏休みに必ず済ませておきたいのが基礎固めです。基礎ができていない状態では、応用問題や過去問を解くことができません。分からない教科は学年をさかのぼっても構わないので、このタイミングで基礎をしっかり固めましょう。授業で分からなかったところや、テストで解けなかった問題などから、自分の理解が不十分と感じたところを潰していきます。また、英語の単語や熟語、文法など、暗記が必要なものもこの時期に積み上げておくと良いでしょう。
たくさんの時間を確保できる夏休みは苦手科目の克服に最適です。点数の取れない科目や自信の無い科目を洗い出して、夏休み中の克服を目指しましょう。そのためにはまず、簡単な問題など、確実にできるところから始めて、成功体験を積み重ね自信をつけるのが効果的です。また、効率的に学力を上げるためには塾の夏期講習を活用するのも効果的です。分野別や理解度に合わせた講習が用意されているので、苦手科目を得点源へと変化させたい人は夏期講習の受講を検討しましょう。
夏休みのうちに共通テストや志望大学の過去問にもチャレンジしてみましょう。夏休みの時点では合格点まで届かなくて大丈夫、その結果に一喜一憂する必要はありません。まずは「敵を知る」ことから始めましょう。出題形式や傾向を知ることで、秋以降の勉強計画を見直して冬本番を迎えるのが目的です。
期間が長い夏休みでは、頑張っていても勉強のやる気がなくなったり、生活リズムが乱れたりしがちです。ここでは夏休みにしっかりと結果を出すための自己管理やモチベーション維持の方法を解説します。
まずは規則正しい生活を心がけましょう。夏休みの勉強を乗り切るには、学校がある時とできるだけ同じ生活リズムを維持することが大切です。学校がある時と同じ時間に起きて、朝、昼、夜と1日の時間の中でバランスを取りながら勉強にあたりましょう。また、勉強時間を確保しようとして徹夜をしたり、昼夜逆転したりしては生活リズムが乱れてしまいます。人は睡眠中に記憶を定着させるため、睡眠時間を削ってまで勉強するのは逆効果です。1日1日の努力を無駄にしないためにもきちんと睡眠時間を確保しましょう。
人間の集中力は長時間続かないことが様々な研究結果から証明されています。休憩を取らずに続けても、効率が下がり逆効果です。1時間から1時間半程度勉強したら、10分程度の休憩を取りましょう。また、長い夏休み、時にはやる気の起きない日もあるでしょう。そんな時は少し長めに休憩を取ったり、運動する時間を挟んだりしてリフレッシュをしましょう。どうしてもという場合は思い切って1日休んでしまうのもひとつの手です。やる気の出ないまま勉強をしていても効率が悪いので、息抜きをして気持ちを切り替えることで一回一回の勉強の質を上げましょう。
集中力、モチベーションの維持のために、勉強する環境を変えてみるのもよいでしょう。勉強場所を変えると刺激で脳が活性化され、集中力が高まると言われています。例えば、アメリカで行なわれた研究では、場所を移動しただけで、記憶力が40%以上も増えたという結果が出ました。自宅にこもってばかりいると気が滅入ることもあります。場所を変えることは気分転換にもなります。特に図書館や自習室などは、家とは違い、誘惑も少なく、他の人も勉強しているので「自分も頑張ろう」という気持ちになるのでお勧めです。例えば、平日の午前中は図書館を利用するというようにスケジュールに組み込めば、生活リズムを整えるのにも役立ちます。
計画性を持って勉強時間を確保し、有意義な夏休みにしよう
夏休みの過ごし方は受験生の運命を大きく左右します。まずは基礎固めと苦手科目の克服をひとつのゴールに、スケジュールを立てて取り組みましょう。基礎ができていない状態で、一気にレベルアップしようと応用問題や入試レベルの問題に取り組むのはNGです。基礎を完璧にすることと、さらに苦手分野を潰すことで、得点源を増やすための土台作りが完成します。また、長い夏休みでは自己管理やモチベーション維持も欠かせません。有意義な夏休みにするためにも、計画を立てて勉強を進めましょう。
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