模試を受けた後は結果を振り返り、復習をすることが重要です。苦手科目の把握や間違えた理由の分析、対策ノートの作成を通して、学力アップにつなげましょう。
この記事では、模試の復習の重要性や効果的な復習法とノートの作り方、教科別の復習ポイントについて解説します。
模試を受けた後は、復習をして自分の苦手分野を把握することが重要です。
模試の結果を確認する際に、点数や志望校の判定に目が行く方は多いでしょう。もちろん現在地を把握することも重要ですが、模試は自分の「伸びしろ」を把握し、適切な学習計画を組むための機会となります。復習を通して、弱点の克服につなげましょう。
模試の復習方法に決まりはありませんが、下記の手順で行うのが効果的です。
1.模試の実施当日に自己採点する
2.間違えた問題の復習をする
3.成績表が届いたら苦手を把握する
それぞれ詳しく解説します。
模試を受けたら、できるだけ当日に自己採点を行いましょう。時間が空いてしまうと、模試の記憶が薄れてしまうためです。
どの問題で手が止まったか、理解不足を感じたかなど、模試の記憶がしっかり残っているうちに取りかかることで、より的確に振り返ることができます。
採点の結果、間違えていた問題やそもそも解けなかった問題、正解しているもののきちんと理解できていない問題があったら、解き直して復習しましょう。模試の直後だけでなく1週間後、1か月後と定期的に復習することが重要です。
一度解いてみただけでは、徐々に記憶が薄れていきます。ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが提唱した「エビングハウスの忘却曲線」では、人間は1週間後に77%、1か月後に79%の記憶を忘れるとされています。
何度も繰り返し問題を解いて、記憶に定着させることが重要です。
また、苦手克服ノートや暗記ノートを作成するのもおすすめです。苦手克服ノートには、よく間違える問題と解答や、すぐに忘れてしまう内容を教科別に記載します。
さらに間違った問題の原因や対策なども考えて記載しておくと、応用問題にも対応できるようになります。また、英単語や歴史などを暗記する際には、暗記ノートを作成してみましょう。
なお、効果的な復習のタイミングについては下記の記事でも詳しく解説しています。
「復習のタイミングが分からない!脳に一番定着するのはいつ?
」
模試の成績表が届いたら、結果をもとに自分の得意分野と苦手分野を分析しましょう。また、全国平均との点差もチェックして、今の自分の立ち位置を把握します。
解説を確認しながら、間違えた問題を改めて解き直すことも重要です。理解度が高まり、知識が定着しやすくなります。
苦手克服ノートや暗記ノートなどの復習用のノートの作成は、苦手分野の克服や暗記に役立ちます。
復習ノートを作成するポイントは下記の3点です。
1.教科別に作成すること
2.使用する色は最低限にすること
3.余白を作って見やすくすること
教科別に復習ノートを作成すると、どこに何の教科をまとめたか確認する手間が省けるので、見返すときに便利です。
ノートに使用する色は3色くらいにしておきましょう。カラフルなノートはペンを持ち替えて書く必要があるため、時間がかかるうえに、どこが重要なポイントなのかがわかりにくくなります。
見やすくするポイントは、余白を多めに取ることです。全体がスッキリするだけでなく、後から書き足したりメモを取ったりするスペースとしても役立ちます。
なお、復習ノートはA5・A6・B6くらいの小さめのサイズで作るのがおすすめです。通学中や移動中に持ち運びしやすく、すきま時間に取り出してすぐにチェックできます。
そのほか、苦手克服ノートや暗記ノートを作成するにあたって押さえておきたいポイントを下記にて解説しますので、参考にしてみてください。
また、こちらの記事でもノートのまとめ方を解説しています。
「まとめ方を変えるだけで、学力アップ。必勝合格!ノート術」
苦手克服ノートは、問題の解き方を理解して同じ間違いをしないようにするために作る復習ノートです。基本的には下記の3点をまとめます。
・自分がミスをした問題と解答
・正しい解答と解説
・解説のポイント
文章だけで理解しにくい箇所は、イラストや図を書いて視覚的に把握するのが効果的です。図や年表を書くのが大変なときは、教科書や参考書などをコピーして貼り付けると手間を省けます。
ただし、解説を丸写ししただけでは「復習したつもり」になりがちです。自分なりに書き換えてみたり、より詳しい解説を書いたりするようにしましょう。自分の言葉で書くことで、理解度アップや記憶の定着につながります。
また、苦手克服ノートを作る際に意識したいのは、「ノート作りに時間をかけすぎない」ことです。ノート作成に時間を取られて勉強がおろそかになってはいけません。
苦手克服ノートを作成することを目的にするのではなく、間違えた問題の解法や考え方を理解して、同じような問題が出題されたときに正解できるよう復習することが大切です。
暗記ノートは、漢字や英単語などの暗記すべき知識を定着させるためのものです。すでに覚えている知識まで書く必要はなく、模試で間違えた問題や自信がない単語のみを記載します。
自分が覚えやすいように作成してかまいませんが、覚えたい単語・用語を赤ペンやオレンジ色のペンなど、赤シートで隠せる色で書くのが基本の作成方法です。
暗記ノートは作成するだけでも役立ちますが、「声に出して読む」「答えを隠して解答してみる」など活用方法を工夫すると、単語や用語がより定着しやすくなります。
また、国語なら関連する作品と著者名も記載する、世界史・日本史の年号や、化学の化学式は語呂合わせも書いておく、英語は英単語だけでなく構文も書くなど、覚えやすくなるよう工夫しましょう。
暗記が多い理科や地歴公民は、関連する実験や登場人物なども記載してストーリー性をもたせると覚えやすくなります。
また、物質の色や地図などは、イラストや図などを手書きまたはコピーして貼り付け、視覚的に記憶できるようにするのがおすすめです。
模試の復習では、結果だけでなく「なぜ間違えたのか」まで分析することが大切です。ここでは、教科別にチェックすべきポイントや復習の方法をご紹介します。
数学の復習では、まず模試の結果を分析して、「目標の偏差値を達成するにはあと何点取る必要があるのか」「強化すべき問題は何か」を確認しましょう。うまく判断できないときは、学校の先生や予備校の講師などに相談するのもひとつの手です。
強化すべき問題を把握できたら、解説を確認して問題を解き直しましょう。解説の内容を理解し、自力でスムーズに解けるようになるまで何度も繰り返すことで、解き方が身に付いていきます。
強化すべき問題を解き終えたら、理解度別に問題をランク分けしてみましょう。例えば、下記のように4つに分類します。
・A…簡単に解けた問題
・B…ケアレスミスがあった問題
・C…理解度が低い問題
・D…ほとんど解けなかった問題
CやDに該当する問題は、しっかり解けるようになるまで何度も復習しましょう。Cなら3回、Dなら6回などのように、理解度別に復習する回数を決めておくのがおすすめです。
高校の数学は、1度復習しただけで解けるようになるレベルではありません。理解できるまで復習を繰り返すことが大切です。
国語の復習では、間違えた問題の正しい解き方を抽象化して捉え、他の問題にも応用できるように理解を深めることが大切です。抽象化する力があると、過去に解いた問題や習ったことを別の場面で生かせます。「これは以前のあの解き方と似ている」と気づきやすくなり、効率的に取り組めます。
抽象化する力は、トレーニングで鍛えることも可能です。例えば、まったく無関係なもの同士の共通点を探す方法ならすぐに実践できます。事象や物に対して、「つまりここから何が言えるのか?」を考える力が身に付き、全体感をつかむのに役立ちます。
この考え方を参考に、ただ正解と解説を確認して終わるのではなく、間違えた原因や解決策を深掘りして、同じミスを繰り返さないようにしましょう。
また、現代文が苦手な場合は、文章の要点を掴む練習をするのも効果的です。例えば小説の読解は下記の点に着目します。
・場面の状況を整理する:5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・どうした)を明確にする
・起きた出来事と登場人物の心情の変化を直接的な表現や登場人物の動きなどから読み取る
上記を把握すると、「このときの登場人物の気持ちは」「なぜ主人公はそのような気持ちを抱いたのか」などの現代文でよくある問題をスムーズに解けるようになるでしょう。
古典は単語を暗記しきれていないために間違えるケースがみられるので、単語をしっかり覚えているか、文章が理解できているかを確認しましょう。あわせて間違えた原因も書いておくと、後で見返したときに注意点を把握しやすくなります。
理科は暗記と計算の両方が必要な科目です。復習を始める前に、まずは間違えた原因を分析して自分の弱点を理解する必要があります。
知識不足の場合は、間違えた問題の解説と正しい解答、その解答になる根拠などを確認して覚え直しましょう。復習ノートに内容をまとめて、定期的に読み返せるようにしておくのがおすすめです。特に、実験や実例に関する問題では、実験結果や実例の意味を正確に理解できていないことが原因となることも多いため、改めて確認しましょう。
計算ミスの場合は、公式を覚え直したり計算方法を再確認したりして理解を深めることが重要です。間違えた問題を繰り返し解き直すことで、計算力を高めることができます。
また、間違えた問題は解答解説を詳しく読み、正解の根拠や解法のポイントを理解しましょう。この際、誤った考え方(間違えて理解していた公式など)をメモしておくと、同じ間違いを繰り返さずに済みます。
地歴公民は暗記が必要な問題が多い傾向にありますが、なかには知識をもとに推測や自分の考えを答える問題もあります。
いずれにしても幅広い知識を身に付ける必要があるので、間違えた問題はもちろん、それと関連する知識も復習しておきましょう。時系列や登場人物と人物像、人間関係、出来事の背景などをノートにまとめ、総合的に覚えるのが効果的です。
特に、単語の意味はただ覚えるだけでなく、その単語が与える影響や時代背景を複合的に理解することが重要です。単語の内容を正確に理解しておかないと、問題の形式が少し変わっただけで対応できなくなる可能性があります。復習ノートに細かくメモし、整理しておくと良いでしょう。
さらに、以下のポイントに注意して復習を進めると効果的です。
・時事問題:最新のニュースをチェックするなど、常に情報を取り入れる。
・地理:地図で位置関係を理解する。
・歴史:年表を記憶して、時系列を理解する。
・公民:憲法や法律を正確に理解する。
このように幅広い視点で学習し、知識を総合的に身につけておくことで、さまざまな問題に対応できる力がついてきます。
英語の復習では、まず英単語・熟語・文法・長文読解・速読のうち、どれが苦手なのかを把握することから始めましょう。
苦手な箇所を把握できたら、暗記ノートや文法書などを活用して必要な知識を定着させます。間違えた問題に関連する語彙や文法の知識が不足していた場合は、関連する部分を復習しましょう。特に、文法のルールや語彙の意味や用法を確認し、正確な理解を深めることが大切です。
また、リーディング力を高めるには、精読と多読のバランスが重要です。一文を正確に読む力がないと長文を速読するのは難しいため、速読だけに頼るのは避けましょう。一文を正確に理解するためには、文法力を鍛え、英文構造を正しく捉える力を養う必要があります。
模試を復習する際に意識したいのが、模試の結果に一喜一憂しないことです。模試はあくまでも今の立ち位置を知って成績アップに活かすものであり、大学合格が決まるものではありません。
よい点数が取れたからと油断せず、さらに成績アップできるよう努めることが重要です。
反対に点数が良くなかった場合も、必要以上に落ち込まないようにしましょう。模試の結果が悪くても、受かる人はたくさんいます。反対に、結果が良くても落ちてしまう人もいます
今回の模試を、自分の苦手分野や解決法を考えるよい機会と捉えて次につなげることが重要です。
また、記事前半でも触れた通り、模試の復習は、なるべくその日中に行うのが鉄則です。日が経過するに従って、解いた内容を忘れてしまいますし、どのような思考プロセスによって誤った解答をしてしまったかなどの記憶も曖昧になってしまいます。
限られた時間を無駄にしないために、模試当日か、遅くとも翌日には振り返りをしましょう。この流れを模試を受けた後のルーティンとして、定着させることが大切です。
模試は自分の苦手分野を把握して成績アップにつなげる絶好の機会です。結果だけ見て終わりでは模試の意義が薄れてしまうため、当日中に自己採点を行って、しっかりと復習しましょう。
また、復習は何度も繰り返して記憶に定着させることが重要です。復習ノートや教科ごとの効果的な復習方法を取り入れ、得点力アップを着実に目指していきましょう。
なお、河合塾マナビスでは、月例面談・模試面談を通して定期的に学習状況を振り返り、学習計画の立て直しや軌道修正する機会を設けています。
月例面談は、計画通りにできたこと・できなかったことを月1回整理し、翌月の計画と目標を立てるために行う面談です。模試面談では、模試の成績表の内容をもとに、教科別の学習状況をチェックします。
この2種類の面談によって成長しているところや課題を把握できるため、適切な学習計画の作成や、モチベーションアップに役立ちます。
河合塾マナビスのサポート内容や強みについては、下記から詳細をご覧ください。
>>マナビスの学習法